愛知県警は6日、ガス会社の契約者情報を不正に入手したとして、探偵業の男2人を不正競争防止法違反(営業秘密侵害)の疑いで逮捕したと発表しました。神奈川県逗子市の住宅で2012年11月、住人のデザイナー三好梨絵さん(33)が元交際相手で元教員の小堤英統容疑者(40)(被害者殺害後自殺)に刺殺された事件でも、この探偵らが被害者情報を容疑者に渡していた疑いがあります。
捜査2課によると、2人は6月上旬、契約名義人の氏名を調べるため、京葉ガス(千葉県市川市)の相談窓口に県市川市内の住民になりすます形で名義人を装って「料金を払っているのに請求書が届いた」などと言いがかりの電話をし、やりとりの中で名義人の氏名を聞き出し、千葉県八千代市の探偵に伝えた疑いで、報酬は数万円だったとされます。
また2012年11月に起きた逗子ストーカー殺人事件で、三好さんが殺害される前日の2012年11月5日、ストーカーの小堤英統容疑者から三好梨絵さんの住所割り出しの依頼を受け、殺害された三好梨絵さんの納税情報について逗子市役所に電話で照会していました。
逗子市役所は記者会見を開き、被害女性の情報閲覧に使われたパソコンの担当職員は市の調査に「当時のことは記憶にない」と答えており、逗子市の小田鈴子副市長は「三好さんの情報にアクセスしたログ(記録)があり、市が関係者に聴取したが、外部流出の確認までは至っていない」としていますが、今後も警察の捜査には協力していくとしています。
三好梨絵さんの夫は「探偵はお金を積めば、いくらでも個人情報が買える仕組みの一つだと思う。いとも簡単に男に情報が渡ったとしたら、無念」と話しています。
ストーカーの小堤英統容疑者から大量のメールが届くようになってから表札を外したり、市役所に住所の閲覧制限をかけるなどしてきましたが、事件直後、自殺した男が住宅地図のコピーを持っていたことから、警察から探偵が住所を小堤英統容疑者に伝えた可能性が高いと聞いていたといいます。
逗子市役所から住所等が照会されたということですが、被害者の三好梨絵さんは結婚して苗字が変わっており、加害男性から逃れるために住所を引っ越しており、2011年6月に神奈川県警が小堤英統容疑者に脅迫罪の逮捕状を執行する際など計2回、記載された被害女性の結婚後の新姓(三好)や転居先の住所(逗子市小坪6丁目)などを読み上げていた問題が起きていました。
また、小堤英統容疑者は2011年、三好梨絵さんの現住所を調べるためにインターネット(Yahoo!知恵袋)を利用していた事も分かっています。
神奈川県警は「2010年12月までに小堤英統容疑者が逗子市在住であることは把握していた可能性が高い」としていますが、小堤英統容疑者はYahoo!知恵袋で2011年5月22日、「逗子市内」の「お祭り」について調べており、番地までは特定していなかったと見られています。その後、2011年10月4日にYahoo!知恵袋で「小坪六丁目にあるお寺」を質問しています。
【【逗子ストーカー殺人】警察が逮捕状の女性の結婚後の名前や住所を読み上げていたと判明 | CUTPLAZA DIARY】
Yahoo!知恵袋で「小坪六丁目にあるお寺」を調べようとしていた
Yahoo!知恵袋ではTwitterやFacebookでの情報も質問されており、2011年5月時点までは「逗子市内」を知っており、神奈川県警が逮捕状読み上げの際に丁目まで知ることになり、探偵業者を通じて正確な住所を入手するきっかけになったとみられます。
【【逗子ストーカー殺人】容疑者はネット(Yahoo!知恵袋や掲示板)で住所割り出し。殺人犯の自殺についても質問 | CUTPLAZA DIARY】
容疑者は2011年5月頃から2012年4月頃までYahoo!知恵袋で質問をしていたとみられる
三好さんが殺害事件の数日前、三好さんが暮らす「逗子市小坪」の番地などを調べるよう探偵業者に依頼。事件前日2012年11月5日に探偵から回答があったとされています。
Yahoo!知恵袋で探偵業者による住所特定について質問していた容疑者
今回の事件では、ストーカー被害者の保護や情報の漏洩防止、ストーカーの前科者の監視というルールやシステムの不備により、被害にあわなくてよい人が殺される結果になっていたと思われます。
また、インターネットが広く利用される現代において、被害者にならないために犯罪に利用しようという人間がいることを認識した上でのネット利用が不可欠といえます。
【情報不正取得容疑、探偵2人逮捕 逗子ストーカー関与か:朝日新聞デジタル】
【市役所から女性住所入手か 逗子ストーカー殺人-北海道新聞[道外]】
【住所、市役所から入手?逗子ストーカー殺人 : 社会 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)】
【「逗子ストーカー殺人 「三好さん情報にアクセスの形跡」」 News i – TBSの動画ニュースサイト】
【逗子ストーカー:事件前日、女性の納税記録を職員が照会- 毎日jp(毎日新聞)】
納税課には当時、9人の職員が在籍。うち正規職員8人はパソコンとパスワードを持ち、ログインするが、作業の迅速化のため、別の職員がそのパソコンを使うこともあるという。
納税記録の開示は、原則として本人が来庁しなければできないが、本人確認などができれば、必要に応じて電話でも可能という。
2012/11/11
逗子デザイナー刺殺、探偵使って詳しい住所入手
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20121111-OYT1T00265.htm
神奈川県逗子市のアパートで6日、デザイナー三好梨絵さん(33)が刺殺された事件で、自殺した元交際相手の小堤英統(こづつみひでと)容疑者(40)が事件前日、探偵業者から三好さんの詳しい住所を入手していたことが10日、捜査関係者への取材で分かった。
逗子署が2011年に脅迫容疑で逮捕し、逮捕状を読み上げる際、三好さんの住所の一部を小堤容疑者に伝えていたことが分かっているが、10年12月までに、逗子市在住であることは把握していた可能性が高いことも判明。県警は、逮捕状の情報が住所特定にどう影響したか調べている。
捜査関係者によると、小堤容疑者は事件の数日前、三好さんが暮らす「逗子市小坪」の番地などを調べるよう探偵業者に依頼。事件前日に探偵から回答があり、翌日、事件を起こしたとみられる。
2012/11/11
【逗子ストーカー殺人】神奈川県警 被害女性の結婚後の名字や住所を2回読み上げ
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/121111/crm12111100060000-n1.htm
神奈川県逗子市でフリーデザイナーの三好梨絵さん(33)が刺殺された事件で、県警逗子署が昨年6月に
脅迫容疑で元交際相手の元教員、小堤英(ひで)統(と)容疑者(40)=東京都世田谷区=を逮捕した際、
三好さんの結婚後の名字などの読み上げが、逮捕状の執行時など計2回にわたっていたことが10日、分かった。逗子署によると、三好さんは小堤容疑者と別れた2年後の平成20年に結婚して「三好姓」となり、逗子市内に転居。
昨年4月、小堤容疑者から「刺し殺す」などと脅すメールが来たため同署に相談した際、
「姓や住所は言わないでほしい」と要望していた。同署は幹部らの間で、この要望を情報共有していた。しかし、同署が昨年6月、脅迫容疑で小堤容疑者を逮捕する際、逮捕状に記載された三好さんの結婚後の名字や転居先
の市名などを読み上げた。さらに、警察署内で小堤容疑者に弁解の機会を与えた際にも、同様の内容を告げたという。数日後には、三好さんの夫から「(小堤容疑者が)すでに妻の名前を知っていると聞いた」と抗議を受けた。
同7月のストーカー規制法に基づく警告の際には、三好さんの居住地の特定を防ぐため、
逗子署長名ではなく本部長名で出すなど配慮していた。一方、事件当日の今月6日、小堤容疑者は自宅から電車で逗子駅まで来て、バスで三好さんの自宅近くまで向かっていた。
同署は小堤容疑者が三好さん宅を特定した経緯などを調べている。msn産経ニュース 2012.11.11 02:00