女流王将、将棋ソフト「あから」に敗北

将棋ソフト「あから」が女流王将とはいえ、初めて将棋のプロが公の対局でコンピューターに敗れてしまった。
今回女流王将が戦った将棋ソフト「あから」は、Intel Xeon 2.80GHz(4コア) 109台、Intel Xeon 2.40GHz(4コア) 60台、合計169台(676コア)が搭載のパソコンに、国内トップの4つの将棋ソフトに合議させ1秒間に6000万手以上先を読んだ内の1手を判定の結果から導きだすそうです。
分かりやすく言うとエヴァンゲリオンの「MAGIシステム」みたいなものです。

女流王将、将棋ソフト「あから」に敗北

女流王将、将棋ソフト「あから」に敗北

女流王将、将棋ソフト「あから」に敗北

ただ、朝のニュースで小倉智昭さんが「単純に考えたらコンピュータは演算能力が凄いんだから人間より強いんじゃないんだ?」とおっしゃっていたのですが、それでもまだプロ棋士は強くてコンピュータは今まで勝てなかったんですね。あと、女流王将というのはアマチュアの5段くらいの実力らしいので、「次回は羽生を出せ」というのはまだ早いと思います。

新進棋士奨励会 – Wikipedia
女流棋士となる条件 – Wikipedia
女流棋士への転身 – Wikipedia

女性が2級以上に在籍していた場合は、退会と同時にその時点の段級位で女流棋士になることが可能。2008年8月現在、この制度を利用したのは岩根忍のみ(奨励会1級→女流1級)。

あからと女流王将の棋譜を読みましたが、今までよく言われていた美濃囲いを多用するというのはそんなに変わっていないのかもしれません。今回の敗因は女流王将が後半に時間が無くなってしまった(その時点であからの持ち時間は1巻程度)のと、最後の妙手からの読み比べなのでしょうか。

女流王将VSあから 投了図(先手:清水 後手:あから)

女流王将、将棋ソフト「あから」に敗北

痛いニュース(ノ∀`) : 将棋の(女流)プロ棋士、将棋ソフトに負ける…コンピューターがプロ棋士を破るのは初 – ライブドアブログ

先手:清水 後手:あから

▲2六歩△3四歩▲7六歩△3三角▲同角成△同桂▲7八金△4二飛▲4八銀△6二玉
▲6八玉△7二玉▲2五歩△8二玉▲7七玉△2二飛▲8八玉△7二銀▲5六歩△4二銀
▲3六歩△5四歩▲3七桂△5三銀▲9八香△4四角▲7七角△同角成▲同金△6四銀
▲5九金△4四角▲4六歩△6五銀▲4五歩△同桂▲同桂△5六銀▲5三桂打△5一金左
▲6一桂成△同金▲6六金打△4五銀▲2四歩△同歩▲3一角△2三飛▲4二角成△7四桂
▲5七銀△8五桂▲6八金△7七桂成▲同金△6六桂▲同銀△5二金打▲3二馬△2二飛
▲同馬△同角▲8六桂△6九金▲7八金△5七角▲7七銀△5六銀▲5八飛△5五角
▲4九飛△7九金▲同金△6七銀成▲5七飛△同成銀▲6六角△5八飛▲9九玉△8五銀
▲5九金△3八飛成▲5七角△8六銀▲6六銀打△9五桂

86手で後手勝ち

投了図

個人的には女流王将の自陣の守りが薄かったのと先手を急ぎすぎたのもあるように思いましたが、相手の陣地に攻めて荒らせなかったというところは対策が必要かもしれません。

女流王将、将棋ソフト「あから」に敗北

女流王将、将棋ソフト「あから」に敗北

女流王将、将棋ソフト「あから」に敗北

女流王将、将棋ソフト「あから」に敗北

女流王将、将棋ソフト「あから」に敗北

女流王将、金2枚に攻める手

女流王将、将棋ソフト「あから」に敗北

相手の陣に攻め込めたのは良かったのですが、結果として後半に2枚の桂馬による攻めに転じさせるきっかけになった。

女流王将、将棋ソフト「あから」に敗北

女流王将、将棋ソフト「あから」に敗北

女流王将、将棋ソフト「あから」に敗北

女流王将、将棋ソフト「あから」に敗北

女流王将、将棋ソフト「あから」に敗北

女流王将、将棋ソフト「あから」に敗北

その後「あから」は悪手にも見える5七角という妙手を打ってきました。
ここで女流王将は考える時間がなかったのかもしれません。
一気に攻めこまれて86手で投了です。

女流王将、将棋ソフト「あから」に敗北

女流王将、将棋ソフト「あから」に敗北

女流王将、将棋ソフト「あから」に敗北

女流王将、将棋ソフト「あから」に敗北

将棋プログラム「あから 2010」、女流王将に勝利
清水女流王将が敗れる コンピューターとの特別対局 – 47NEWS(よんななニュース)

 清水女流王将は歴代最多のタイトル獲得数43を誇る女流のトップ。実力はアマチュア五段以上のレベルといわれている。

将棋ソフトが初勝利 清水市代・女流王将を下す – MSN産経ニュース

 今後、あからは早ければ半年後にも日本将棋連盟が指名する男性棋士に挑み、さらに勝てば最高峰の羽生善治名人(王座・棋聖)か渡辺明竜王と対局する見通し。

【PC Watch】 コンピュータ将棋が女流王将に勝利

 あから2010は、一般社団法人情報処理学会の「トッププロ棋士に勝つ将棋プロジェクト」によって開発された特製システム。あからというネーミングは、10の224乗を表わす阿伽羅(あから)が、将棋の局面数に近いことにちなんで命名された。

 ハードウエアは、東京大学クラスターマシンが使用され、Intel Xeon 2.80GHz(4コア) 109台、Intel Xeon 2.40GHz(4コア) 60台、合計169台(676コア)が搭載されている。

 ソフトウエアは、国内トップ4プログラムを動かし、その多数決合議法を採用。4つのプログラムは、プレイヤー1は「激指開発チーム」、鶴岡慶雅氏、横山大作氏開発の「劇指」。プレイヤー2は、「チームGPS」、田中哲朗氏、金子知適氏ほか開発の「GPS将棋」。プレイヤー3は、保木邦仁氏開発の「Bonanza」。プレイヤー4は、山下宏氏開発の「YSS」。

 4プログラムそれぞれについて1台ずつ、CPUにXeon W3680 3.33GHz(6コア)、メモリに24GBを搭載したバックアップマシンが用意されている。

 4つのプログラムの合議については、電気通信大学伊藤毅志研究室と保木邦仁氏が開発した、4つのプレイヤープログラムに局面を渡し、指し手を受け取り、もっとも多い手を指し手として返す、合議マネージャーによって行なわれている。

 最初の1時間はゆっくりとしたペースで試合が進み、直接駒が戦うシーンもないまま進行。大盤解説を担当した藤井猛九段、佐藤康光九段からは、「どこで戦いが始まるのか。超持久戦になりそうな展開」と、長い戦いを思わせる声があがるほど。

 その後、1時間経ってスタートから2時間を超えると、「駒は直接ぶつかっていないが状況は大きく変わった」とようやく動きのある展開に。コンピュータの手に対しては、大盤解説を行なっている男性プロ二人から、「え?こんな手が?」、「これは悪手としか思えません。人間では指せない手だ」という歓声があがるほど。局面では清水女流王将が優位で進んでいった。

 実は、コンピュータ室でプログラムを見守っていた情報処理学会のスタッフからも同様の声が上がっていたそうで、「4つのプログラムのうち、当然、これを選択するだろうと思っていた手が合議の結果、採択されず、スタッフから悲鳴があがる場面もあった」(松原仁トッププロ棋士に勝つためのコンピュータ将棋プロジェクト副委員長)という。

 しかし、後半になると一転してコンピュータが優位に。時間にして6時間3分、86手で、あから2010の勝利が決定した。

 対局直後、大盤解説の会場に姿を見せた清水市代女流王将は、大盤解説を行なった男性棋士二人の「予想外の手が多かったのでは」との問い掛けを、「ほとんどの手が読み筋でした。対局前、どれだけコンピュータ将棋の研究をしたと思っているんですか」とその質問を一蹴した。

 しかし、コンピュータが人間に負けるという結果になったことに対しては、日本将棋連盟 米長邦雄会長が、「清水さんが長考しすぎた結果では。あそこで考えすぎず、素直に打っていたら結果は違っていたんではないか」と実力の差というよりも、人間が考えすぎた結果ではないかと指摘した。

 その後、記者会見が行なわれ、清水女流王将は「事前にコンピュータ将棋を研究した過程で、ある程度イメージは持っていたが、実際に対局してみると少しイメージは違いました。もっと、人間の想像を超えた、奇想天外な手を打ってくるのかと思っていましたが、実際にはより人間に近いと感じました」と素直な対局の感想を話した。

 プログラムの1つ「激指」開発チームの一員である鶴岡慶雅氏は、「私は激指の開発に関わっているので、ついつい激指をひいき目で見てしまうが、コンピュータ将棋の弱点を見えにくくするためには、今回採用したような合議制によって6%程度勝率が上がるという結果が出ている。激指単体で勝負するよりも、合議制という方法をとったことで勝率があがったのでは」と推測した。

 各プログラムは、清水女流王将との対局用に探索や表関数をチューニングするといったことは行なっていないそうで、「純粋に読みの精度をあげることに注力して対戦に臨んだ」という。

 なお、情報処理学会側では対局中のサーバーダウン等を気にしていたが、「実際にクラスタの19、92が落ちることはあったものの、全体としてはトラブルなく、無事に動いたことを感謝したい」(松原副委員長)という結果となった。

 コンピュータが女流王将に勝利したことで、プロ男性棋士との対局を期待する声もあがったが、日本将棋連盟の米長会長は、「まず、今回の対局を細かく精査しなければなんとも申し上げられない。情報処理学会の皆さん、ファンの皆さんの声を踏まえて、今後は決定していきたい。ただ、個人的には清水女流王将のリベンジを期待したい」と感想を述べた。

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