日本首相の高市早苗氏が国会で台湾有事への自衛隊対応可能性を示唆した発言に対し、中国は日本への旅行を控えるような呼びかけを中国内で出したり(渡航自粛の呼びかけ)、日本への飛行機を出さないようにしたり(航空便への影響)、Xでは中国政府関連と見られるアカウントが、日本を貶めるようなポストを出すキャンペーンがされています。
中国が切ったカードは「よくわからない交流会の出席停止」であったり、「日本アニメの上映停止(人気作は除く)」であったり、「輸入停止していた日本産の水産物の輸入停止」という効果がよくわからないものだったり、「パンダの貸し出し停止」という既にパンダは返還してたやんけといった良く分からない対抗策なんですが、正直中国のこれまでの対抗策は必死さを感じさせます。
こうした中国に対して今一番日本がしてはいけないのが「感情的な反中政策」「日中の完全な関係断絶」「単独での制裁、非難」「対話の中断、外交無視」です。
ほんとうの中国 日本人が知らない思考と行動原理 (講談社現代新書 2784) | 近藤 大介 |本 | 通販 | Amazon

逆効果になるNG対応(やってはいけない)
| NG対応 | なぜ逆効果か |
|---|---|
| 感情的な反中政策 | 中国のナショナリズムを強め、国内を団結させる |
| 日中の完全な関係断絶 | 経済面で痛みが大きいのは日本 |
| 単独での制裁、非難 | 多国間でなければ効果がほぼない |
| 対話の中断、外交無視 | 軍事・経済の誤解リスクが上がり危険 |
そして日本が今やるべきは「中国の態度を一方的に改めさせる」方法は存在しませんが、日本と国際社会が “中国にとって関係悪化が損になる状態” を作り出すことで、行動を抑制し、態度を変えさせる努力をすることです。
中国に“変わらないと損”と思わせる圧力と利益の両方を作る
これが最も効果のある方法です。
なぜ中国が強硬姿勢を取ねのか?
中国は国内政治の正当性を“外敵”で補える
中国共産党は経済成長で求心力を保ってきましたが、成長鈍化後は「強い中国」「外敵と戦う」というナショナリズムが政権安定の道具
になっています。
日本が強硬姿勢に反発しても、国内政治的にはむしろ都合が良いのです。

経済システムが“自国中心”で外圧に耐える構造
国営企業、多国籍企業への義務化、資本規制などにより、
外部圧力に対して耐性のある国の形を作っています。
国際秩序の選択肢が増えた(代替市場の拡大)
アフリカ、中東、東南アジア、BRICSに勢力を拡大し、「日本や欧米に依存しない経済圏」を広げています。
中国の態度を改めさせうる戦略
一方的制裁や反発は逆効果です。
効果があるのは 多国間で「利益と損失の設計を変える」方法です。
日米+インド・東南アジアとの経済連携強化
中国にとって無視できない市場圏を作り、関係悪化=市場喪失と思わせる。
サプライチェーンの脱・中国依存
重要資源・半導体・AIなどの国際連携
結果として、中国も“孤立は損”になるという状況を作ることが大事です。
技術・安全保障の“不可欠なパートナー”になる
日本が持つ技術(半導体素材・精密機械・海洋技術・宇宙等)を
“単独ではなく、友好国と共有”することで中国が日本を排除すると自分が不利になる構造を作るべきです。
防衛力+同盟ネットワークによる抑止
日本単独の主張ではなく、国際海洋法、WTO、国連などの枠組みを活用し国際法を破る中国=国際的コストにする必要があります。
そうして日本の主張が「世界の主張」に変わるようにするのです。
中国に“変わらせる”のではなく、変わらざるを得ない状況を作る。
この状況を作るためには
- 日米+インド+ASEAN+豪州+欧州との連携強化
- 技術・安全保障・市場形成の多国間協力
- 国際法・多国間外交を戦略的に活用
- 防衛力+実利的な対話
- 感情ではなく長期戦略で対処
を粛々と行い、しいては対立と協調を両立する「強い現実主義」を持つべきなのです。
Amazon.co.jp: ピークアウトする中国 「殺到する経済」と「合理的バブル」の限界 (文春新書) 電子書籍: 梶谷 懐, 高口 康太: Kindleストア

中国との関係について
経済的相互依存
日本と中国は長年、貿易や投資で深く結びついてきました。中国は重要な輸出市場であり、日本企業にとっても中国市場は無視できないものとなっています。
地政学的・地域安定の観点
日本にとって中国は地理的に近い大国であり、完全な対立というよりは、ある種の「競争しつつ協調も図る」現実主義が必要です。
国際秩序との関係
中国の台頭は国際秩序の変化を意味しており、日本は変化するパワーバランスの中で自国の影響力を維持・拡大するために、中国を完全に排除するよりも「戦略的に管理」するアプローチが合理的という見方もあります。一方で、中国が力による現状変更(海洋での一方主張など)を継続しているという指摘もあります。
軍事的脅威の増大
日本の防衛白書でも、中国の海洋進出や力による現状変更の試みへの警戒が強まっており、中国とロシアの戦略的連携も警戒されています。これらが日本の安全保障環境をより複雑にしています。1
経済面での「武器化」の可能性
中国は資源(例:レアアース)での支配力を持っており、必要に応じて供給網を武器化する可能性があります。2
外交的・イデオロギー的影響
中国は国際的プレゼンスを高めるため、安全保障だけでなく開発・インフラなどの分野でも影響力を強めようとしています。3
日本は中国以外の友好国との協力と経済的な結びつきを広げるべきです。状況が変わると経済的圧力を強める特定の国とだけ付き合うのは、様々なリスクがあります。
日本が「仲良くすべき/強化すべき国」
アメリカ
- 安全保障の最重要パートナー。日本は米国との安保条約を基盤として、中国の軍事的脅威や地域リスクに備えている。
- 軍事技術協力、情報共有、ミサイル防衛などで連携を強めることで抑止力を高められる。
インド
- 日本はインドと戦略的関係を強化しており、双方が中国の影響力拡大に対抗する共通利益を持つ。
- インド太平洋地域での「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」構想において重要なパートナー。
- 経済協力、インフラ、技術分野でも増加する協力が見込まれる。
オーストラリア
- 地理的に重要な同盟国。日本・オーストラリア間には防衛協力、装備品技術協力、演習などの制度的枠組みがある。
- 中国の海洋進出(南シナ海など)への対応でも連携が可能。
欧州諸国(特に民主主義・価値観を共有する国々)
- 共通のルールベースの国際秩序を重視する国々と協力することで、中国が主導しがちな国際秩序に対抗。
- 経済・技術分野で協働し、サプライチェーンの多様化を進める。
東南アジア諸国(ASEAN)
- 地理的に中国と近接する国々との関係を深めることは、地域の安定性に直結する。
- 日本はインフラ、開発、資金協力などでASEAN諸国と柔軟な協力を進めることで、地域の中国依存を抑える。
韓国
- 安全保障・経済の両面で連携を図る価値がある。日本、米国、韓国の三角協力は戦略的に意義がある。
- ただし歴史問題・領土問題などの難しさもあるので、信頼構築には慎重かつ継続的なアプローチが必要。
日本は単に反中になるのではなく、戦略的に関わりつつリスクを管理するために取るべき方策があります。
対中国の具体的な政策・対策案(日本が取るべき戦略)
防衛力強化と抑止力の構築
- 長距離ミサイル配備やミサイル防衛システムの強化。最近、長距離ミサイルの配備計画が報じられている。
- 同盟国(特に米国)との防衛連携、共同演習、情報共有を強化。
サプライチェーンの多様化
- レアアースなど戦略資源の調達先を多様化。中国への過度な依存を減らす。
- 重要技術(半導体装備、ハイテク部品など)の生産・調達を国内または信頼できる友好国へシフト。
外交ネットワークの強化
- インド、オーストラリア、ASEAN、EUなどとの戦略対話を深化。
- 多国間枠組み(例:Quad=四カ国・インド太平洋、地域経済フォーラムなど)での協力強化。
価値観を基盤とした協力
- 民主主義や法の支配、人権など、価値を共有する国々との関係を深め、国際秩序のルール形成に積極参加。
- 「中国とは違うモデル」を示すことで、他国(特に途上国)との競争力を高める。
危機管理・対話チャネルの維持
- 対話を完全に断絶せず、危機時の外交チャネルを維持。
- 軍事的緊張をコントロールするための透明性と信頼構築。無責任なエスカレーションを避ける。
- 定期的な高官級協議、軍事間ホットラインなど。
国際機関やルールへの関与
- 国際海洋法(国連海洋法条約など)への支持と活用。
- 多国間の安全保障メカニズム(地域フォーラムなど)で日本の影響力を強化。
中国と「完全に手を切る」ことは現実的ではないが、甘やかすわけにもいかない。相互依存を前提にしつつ、リスク管理と抑止力構築が不可欠です。同時に、日本は他の「価値を共有する国々」との連携を強化するべきであり、それを通じて「中国以外の安全保障・経済基盤」を強くする必要があります。外交、多国間の安全保障メカニズム、危機管理能力を強化し、戦略的柔軟性と抑止力を両立させます。
- NIDSコメンタリー 第382号 – 防衛省防衛研究所 ↩︎
- 日中関係の緊張続く、経済活動への波及リスク高まる-QuickTake – Bloomberg ↩︎
- 防衛省・自衛隊|令和6年版防衛白書|3 対外関係など ↩︎