福島第一原発の事故により放出された放射性物質が西日本や北海道に拡散されたとする日米欧の研究チームの解析を朝日新聞や読売などが11月15日に報道しており話題になっています。
文科省による汚染の広がりの見解は長野・群馬県境までとしながら、あくまでシミュレーションの結果という情報であるにもかかわらず、実際に中国・四国地方の山間部で、原発由来の放射性物質が沈着しているとミスリードしてしまいそうな記事となっています。
その為、Twitterなどでは早速、誤解をして騒いでいる人も出たり、シミュレーションと理解できた人は今更この発表をするのは実害しか無いと憤る人も出てきています。
ウイキペディアにも出てこないので米宇宙研究大学連合(USRA)というのがどのような機関で、どの程度世界的に認知され信頼度がどの程度なのかが分からないのですが、今回の解析結果を出した研究チームの研究員・安成哲平さんは自身のTwitterでも以下のように答えています。
@yoshizawatomoko 我々の見積もりは汚染の絶対値を保証するものではありませんので、より詳細な地域観測によって詳細の情報は得てください。見積もりの不確定な部分についても日本語の文章にまとめてあります。
【Teppei J. Yasunari’s Website】
【J-GLOBAL – 安成哲平 【研究者】】
(再掲)セシウムの全国汚染論文(PNAS)はここからダウンロードしてください。どなたでもダウンロードできるオープンアクセスにしてあります。 http://t.co/OtZIsirN
PNAS論文「セシウム137の全国汚染見積もり」の日本語のまとめ(プレスリリース文章)が名古屋大のHPに掲載されました。→ http://t.co/4C7BcwqD 原文(英語)はこちらです→ http://t.co/OtZIsirN
朝日新聞の記事の以下の文章にも、
『米宇宙研究大学連合(USRA)の安成哲平研究員らの研究チームは、大気中の汚染物質の拡散を20キロ四方で計算するシステムを使い、事故後の天候や雨による放射性物質の降下を加味してシミュレーション。文科省によるセシウム137の測定値で補正して、3月20日から4月19日までの沈着量を算出した。』
と書かれてあるように、3/20~4/19の事故後の天候や雨に放射性物質の降下を加味したシミュレーションの結果が今回の解析です。
また、この解析結果の数値は除染が必要なレベルではないが、全国の土壤などのモニタリングが必要だとしています。
確かに当時既に四国でも、4月19日時点で「ごく微量の放射性物質」が観測されています。
しかし、この程度では人体に影響はないとされています。
これから先は、文科省などが色んな所での実際の放射性物質のモニタリングがされ公表されるべきでしょうし、食品に置いてもいろんな運搬や加工の過程で測定が必要かもしれませんね。
今回のようなシミュレーション結果だけでこんな騒ぎになるくらいですから、実際の数値を公表していかないといらぬ風説だけが世界や日本各地でされる事になりかねません。
【Twitter / Search – 福島原発の放射性】
ただ、米宇宙研究大学連合(USRA)というのが未だにどんなチームなのか分からないのと、日本のチームは名古屋大などの教授や研究員とされていますが、海外の研究機関はどこなのかも知りたいところです。
【asahi.com(朝日新聞社):「福島原発の放射性物質、西日本にも」研究チーム解析 – 社会】
東京電力福島第一原発の事故で大気中に放出された放射性物質が、西日本や北海道にも拡散しているとの解析を日米欧の研究チームがまとめた。15日の米国科学アカデミー紀要電子版に発表する。文部科学省は長野・群馬県境で汚染の広がりはとどまったとの見解を示したが、以西でも「わずかだが沈着している可能性がある」と指摘した。
米宇宙研究大学連合(USRA)の安成哲平研究員らの研究チームは、大気中の汚染物質の拡散を20キロ四方で計算するシステムを使い、事故後の天候や雨による放射性物質の降下を加味してシミュレーション。文科省によるセシウム137の測定値で補正して、3月20日から4月19日までの沈着量を算出した。
分布状況は文科省の観測の傾向と一致していたが、岐阜県や中国・四国地方の山間部で、原発由来の放射性物質が沈着している可能性が示された。北海道にも広がりがみられた。
【中国・四国でもセシウム沈着…名古屋大推計 : 科学 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)】
東京電力福島第一原子力発電所事故で放出されたとみられる放射性セシウムは、北海道や中国、四国地方などにも広がっている可能性が高いことが、名古屋大などの推計でわかった。
米科学アカデミー紀要電子版に近く発表する。
安成哲三教授らは、3月20日~4月19日の都道府県各1か所のセシウム実測値をもとに、日本全域の土壌に1か月間で沈着した量をコンピューターで推計。深さ5センチの土壌での濃度に換算して地図を作った。
推計では、北海道の東部や中国、四国地方の山間部などで、放射性セシウム137が1キロ・グラム当たり500ベクレル以下の低濃度で沈着したとみられる地域があった。
これらの地域の濃度は、米の作付け制限(同5000ベクレル超)を下回ることなどから、研究チームは、直ちに除染が必要なレベルではないとしている。
東京電力福島第一原子力発電所の事故で放出された放射性物質は、北海道や中国・四国地方にまで拡散し、土壌に沈着した可能性があるとするシミュレーションの結果を名古屋大学などの研究チームがまとめました。研究チームでは「除染が必要なほどではないものの、全国で土壌調査を行うべきだ」としています。
名古屋大学などの国際研究チームは、原発事故のあとの3月20日から1か月間、各地で実際に計測された放射性物質のデータを地球全体の大気輸送モデルと組み合わせ、シミュレーションを行いました。その結果、事故で放出されたセシウム137の一部は、北海道や中国・四国地方にまで拡散し、雨などの影響で土壌に沈着した可能性があることが分かったということです。セシウム137は半減期が30年のため、影響が長く残るとされていますが、土1キログラム当たりの濃度は、高いところで、北海道東部の一部で250ベクレル、中国・四国地方の山岳部で25ベクレル程度とみられ、研究チームでは、いずれも除染が必要なほどではないとしています。シミュレーションを行った名古屋大学の安成哲三教授は「放射性セシウムが全国的に広がっている可能性があることが分かった。局地的に放射線量が高いホットスポットが出来ているおそれがあり、全国で土壌調査を行うべきだ」と話しています。
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2011/11/11 文部科学省発表のモニタリング結果
平成23年11月11日
文部科学省による、岩手県、静岡県、長野県、山梨県、
岐阜県、及び富山県の航空機モニタリングの測定結果、
並びに天然核種の影響をより考慮した、これまでの航空機モニタリング結果の改訂について
2011/04/20 四国でも極微量の放射性物質がが観測されている。
【【高知】 四国で初めて 「セシウム」 を検出 ・・・地球を一周してきた】
■降下物から放射性物質 セシウム、四国初 「健康に影響なし」 /高知
県衛生研究所(高知市丸ノ内2)は19日、同研究所で採取した雨やちりなどの降下物から、放射性物質の
セシウム137とヨウ素131が検出されたと発表した。福島第1原発の事故以降、セシウム137の検出は
四国では初めてという。同研究所は「ごく微量で、健康には影響はない」としている。同研究所によると、18日午前9時からの24時間で、セシウム137が1平方メートル当たり2・4ベクレル、
ヨウ素131が同4・4ベクレルを検出した。自然界から1年間に受ける放射線量の10万分の1以下に相当
するという。水道水からはともに検出されていない。同研究所の今井淳所長は「福島から直接ではなく、気流に乗って地球を1周して到達したとみられる」と説明。
「乳幼児だけでなく、農作物にも全く影響はない」と話している。【千脇康平】http://mainichi.jp/area/kochi/news/20110420ddlk39040649000c.html