アメリカのトランプ大統領とウクライナのゼレンスキー大統領の首脳会談が、日本時間の19日午前2時すぎからホワイトハウスで行われる1という話を聞いて、今回はうまくいくことを願っていたのですが、ドイツのメルツ首相は和平よりまず停戦をすべきという姿勢2を崩さず、イタリアのメローニ首相がそれを見て目を回す始末(もちろんXで話題になったが、メローニ首相が卒倒したみたいなことにはなっておらずなにか発言したということもなかった)3、アメリカ陣営のゼレンスキー大統領いじめは行われず、終始和やかに終わったように見えたが、結局プーチン大統領との交渉は上手くいくかは不透明で4、挙句の果てにはトランプ大統領はウクライナがロシアに戦争を仕掛けたと発言しました。

そもそも今回の会談の前からトランプ大統領はウクライナに対してロシアに占領されている地域を諦めるように要求5しており、ウクライナはもちろんのこと欧州としても、それらの要求は飲めないとみられます。
ウクライナのNATO加盟もないという見方をトランプ大統領は示していますが、今の支援のあり方ではそろそろウクライナが持たないのではないかという危機感がウクライナや欧州にもあり、今後の動向が注視されています。
2014年に始まったウクライナ紛争は2015年2月に停戦に合意してミンスク合意を得たが、以後も戦闘が散発し現在はさらなるロシアの進行でウクライナの都市が占拠されています。6
そうした背景からウクライナのゼレンスキー大統領は10年前にウクライナ東部で始まった親ロシア派の武装勢力とウクライナ軍の戦闘をめぐって結ばれた停戦合意7について「危険なわなだった」と述べ、停戦を重視するあまり、結果的に領土の占領につながったなどとして今回は同じ過ちを繰り返さないという考えを示しています。8
これから各陣営が取り得る対応(見通し)
ウクライナ
- 限定停戦(局地的休戦)と交換に防空強化
ロシアの攻勢が続く中、都市防空と電力網防護の即応支援(弾薬・迎撃体制)を引き換えに、限定停戦ラインを試験導入——現実的に最も可能性が高いカード。Reuters - 領土譲歩を伴う包括合意は拒否
国内世論・法的制約(憲法の領土不可分)からもハードルが極めて高い。凍結線の容認と「法的譲渡」は別物という線引きを続ける見込み。Vox - 安全保障の“代替NATO”
米欧の共同安全保証(駐留・防空傘・長射程兵器の使用条件)を模索。ただし、実効性(発動条件・指揮権・拒否権)次第。Reuters
アメリカ(トランプ政権)
- 「欧州主導+米補助」モデルの提示
米地上軍の不投入を前提に、欧州の枠組みへ米国が空からの支援や情報・資金面で関与する案を試行。政治的には受け入れられやすいが、抑止力の信頼性に課題。Reuters - プーチン—ゼレンスキー直接会談の斡旋
三者会談(または二者→三者)を模索。ただしロシア側の本気度が鍵。CBSニュースAP News - 領土“調整”をほのめかしつつも、ラインの具体化は先送り
発言は揺れ動いており、国内外の反発を見ながら幅を残す戦術が続く見通し。Fox NewsReuters
ロシア
- 停戦協議と軍事圧力の“並走”
交渉入りの代償として追加の地歩(特にドネツク州全域)を狙う。攻撃再開の脅威をレバレッジ化。Reuters - 三者会談への“条件闘争”
制裁緩和、ウクライナのNATO非加盟の明文化など高い条件提示で時間を稼ぐ戦術が想定される。Al Jazeera
欧州(EU主要国)
- “停戦優先”で足並み
メルツ政権のドイツが停戦先行を主張、イタリアやフランスも現実主義的に歩調を合わせつつ、領土譲歩の法的承認には慎重。anews.com.tr - 欧州版セキュリティ・ギャランティ
NATO加盟の代替として多国間の安全保証(訓練・防空・資金の長期枠)。実施には米国の“後ろ盾”が依然不可欠。Reuters
「どうすべきか」—複数の観点からの提案
1) 抑止・国際法の観点
- 領土変更の“法的承認”は避ける(凍結線の事実上容認はあっても、国際法上の譲渡は不可)。他地域への波及(力による現状変更の連鎖)を防ぐため。Vox
2) 停戦設計の観点(セキュリティ・アーキテクチャ)
- 「段階的停戦+検証メカニズム(国連・OSCE等)+違反時自動制裁のスナップバック」をセットに。
- ウクライナ上空の防空傘(AWACS/ISR・迎撃弾補充)を合意履行の“歯”として用意。必要なら限定的な航空支援の準備姿勢も示し、違反抑止に使う。Reuters
3) 安全保障の代替案(NATO外形)
- 「欧州主導・米補助」の多国籍保障を条文化(発動条件・対象兵器の使用範囲・即応部隊の所在を明記)。“拒否権条項”が紛れ込むと無力化するため、自動発動条項に近い書きぶりが必要。Reuters
4) 経済・制裁の観点
- 停戦開始と連動した段階的制裁緩和のロードマップを設計。ただし違反時は自動復活(スナップバック)。
- エネルギー・軍需のセカンダリー制裁は抜け道を塞ぐ統一ルールで。欧州内の足並みが鍵。Reuters
5) ウクライナ国内の観点(持続可能性)
- 電力網・住宅・地雷除去の復旧資金の前倒し拠出と、**長期の対露抑止投資(防空・砲弾生産)**を“和平予算”として同時に積む。停戦後の“再侵攻コスト”を上げるのが狙い。Reuters
6) 交渉プロセスの観点(実務)
- 二段階方式:①軍事的緊張緩和(停戦・捕虜交換・核安全)→②政治パッケージ(安全保障・経済・人権・自治の枠組み)。
- メディア向け“勝者物語”の争奪戦を避けるため、秘密補助線(シャトル外交)と共同ファクトシートで誤解拡散を抑制。Al Jazeera
3つの現実的シナリオ(3か月〜1年)
- 限定停戦+安全保障の骨格合意(最良)
空からの抑止と検証を効かせ、局地的な砲撃停止→拡大。領土の法的地位は棚上げ。Reuters+1 - “凍結”のみ進み、政治合意は停滞(中間)
前線は縮退するが、越境攻撃や無人機戦は残る。制裁緩和は限定的。 - 交渉長期化+ロシアの圧力再強化(悪化)
三者会談が流れ、ロシアがドネツク州全域獲得を狙って攻勢。欧州は停戦最優先に回帰、ウクライナの消耗が進む。Reuters
- トランプ大統領 ゼレンスキー大統領 欧州各国首脳とも会合 国際部のデスクが解説 | NHK | ゼレンスキー大統領 ↩︎
- トランプ氏、ウクライナ停戦要求を撤回 写真2枚 国際ニュース:AFPBB News ↩︎
- 呆れて目を回している伊メローニ首相 ↩︎
- トランプ大統領 “ロシアとウクライナ 両首脳会談へ調整開始” | NHK | ウクライナ情勢
ロシアとウクライナの首脳会談、2週間以内に実現で合意 – CNN.co.jp ↩︎ - クリミア半島の放棄とNATOへの非加盟、トランプ氏がウクライナに同意求める – CNN.co.jp ↩︎
- ウクライナ紛争 (2014年-) – Wikipedia
【地図で見る】 ウクライナ領土は戦争でどのように荒らされてきたのか トランプ・プーチン会談の焦点に – BBCニュース ↩︎ - ミンスク議定書 – Wikipedia ↩︎
- ゼレンスキー大統領 “停戦合意は危険なわな 過ち繰り返さず” | NHK | ゼレンスキー大統領 ↩︎