菅直人総理大臣が辞任の意向を明らかにしたことで、民主党内では総裁選挙のポスト菅をめぐって複数名乗りが上がっているようです。
8月13日の愛媛新聞に「ポスト菅候補の増税・マニフェストへのスタンス」の一覧を載せていましたので、それに大連立・原発をプラスしてまとめてみます。大連立・原発に関しては私調べですので本人の本心ではない場合もあるかと思われます。また、相手は政治家なので正式な表明が出た際に違うスタンスを示す場合もあることを述べておきます。
○…賛成 △…慎重・わからない ×…反対
ポスト菅候補 | 出馬表明 | 増税 | 大連立 | 原発推進 | マニフェスト 見直し |
野田佳彦財務相 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
海江田万里経済産業相 | ○ | △ | × | ○ | △ |
平岡秀夫副総務相 | ○ | △ | × | × | △ |
馬淵澄夫前国土交通相 | ○ | × | × | △ | ○ |
小沢鋭仁元環境相 | ○ | × | △ | ○ | × |
樽床伸二元国対委員長 | ○ | × | ○ | △ | △ |
鹿野道彦農相 | △ | △ | △ | △ | △ |
前原誠司前外相 | △ | △ | ○ | △ | ○ |
増税は野田氏のみ積極的です。馬淵氏は「景気回復、デフレ脱却が先だ」と真っ向から反対。小沢氏は社会保障のための増税は容認しつつ、復興増税については「経済が縮んで復興不況を招く」と認めない立場。樽床氏は「復興財源は増税で手当てすべきではない」としています。海江田氏・鹿野氏・前原氏は「議論が必要だ」「増税、反増税の二者択一で考えるべきでない」と慎重路線で強硬な反増税派とは一線を画しています。
ただし、増税に反対している人も復興増税に反対なのであって、社会保障対策の消費税増税には賛成の意思を示している人もあり、タイミングが合えば増税をするが今はしないという反対意見の人もいるようです。
原発については脱原発を掲げている人というのは少ない印象です。また、経済状況に合わせた緩やかな脱原発路線を主張する声は多く、前原氏のように「今の民主党は少しポピュリズム(大衆迎合)に走りすぎている。私も日本が20年先に原発をなくすことは賛成だ。」と発言している人もいます。また、東日本大地震以前に原発を推進していた人もいますが、こうした人の今後の発言には注目したいものです。
有力候補は野田氏・海江田氏・前原氏とか色々マスコミが書いているのですが、これだけ頭数あっても総理大臣にはちょっと頼りないというか不安になっちゃうのはなぜなんでしょうね。
■立候補は前原誠司前外相、馬淵澄夫前国土交通相、海江田万里経済産業相、野田佳彦財務相、鹿野道彦農水相の5人に(2011/08/27 16:01追記)
【情報BOX:民主党代表選、立候補5氏の政見要旨一覧(ロイター) – livedoor ニュース】
菅直人首相の後継を決める民主党代表選挙が27日告示された。前原誠司前外相、馬淵澄夫前国土交通相、海江田万里経済産業相、野田佳彦財務相、鹿野道彦農水相の順でそれぞれ立候補を届け出た。立候補した5氏の主な政見は以下の通り。
<前原誠司前外相>
@マニフェスト(政権公約)
・マニフェストの理念を堅持しながら、東日本大震災発生後の経済・社会情勢の現実に即して、実現に向けて挙党一致で取り組む。
@与野党協力
・衆参ねじれ国会を前提に、与野党調整の一層の信頼関係構築。
@震災復興と復興増税
・大型の第3次補正予算を早期に執行
・復興財源は、安易に増税に頼らない。PFI(民間資金を活用した社会資本整備)/PPP(官民連携)や復興ファンドなどの民間資金の活用等を検討し、財政支出の圧縮を目指す。
・復興債償還計画は、経済を回復軌道に乗せた上で、増税を含めてしっかりとした償還計画。
@エネルギー政策と原発
・原発事故に国が全面的に関与し事故収束と賠償、廃炉進める
・官邸主導でエネルギー改革。原子力依存を中長期的に低下。既存の原発は安全性を十分確認できたものについて再稼働。
@社会保障と税の一体改革
・日本経済を成長軌道に乗せ、その果実を財政に寄与。中長期的な財政の健全性を担保しながら、党内の議論を踏まえた「税と社会保障の一体改革」を進める。
@円高対策と成長戦略
・円高と空洞化対策に緊急に取り組む。3年間をデフレ脱却と潜在成長率のアップの集中期間として、大胆な財政政策と金融緩和政策。政府・日銀の共通政策目標設定で金融政策の機動性と実効性高める。
・外為特会などを活用、国家戦略ファンドを創設し、円高対策も兼ねた海外の成長分野への投資を積極的に行う
@外交・農政・その他
・日米同盟を基軸としつつ、アジア諸国をはじめとする主要各国との信頼関係の構築に全力。自由貿易体制の拡大等経済外交を積極的に推進。
・戸別所得保障制度の確立などで若者の定着できるもうかる農業確立し食料自給率50%目指す。
<馬淵澄夫前国土交通相>
@マニフェスト(政権公約)
・これまで実現できなかったのはマニフェストが正しくなかったからでなく実行体制に原因。
@与野党協力
・大連立排除しないが現在の政見枠組み前提。丁寧な政党間協議を忍耐強く積み重ねる。
・独自財源を持つ復興庁を年内に設置。被災地に特区設置。
・財源は長期償還の国債や無利子非課税国債等でまかない、安易な増税に頼らない。
@エネルギー政策と原発
・福島第1原発事故の収束は国の権限と責任で行う。
・耐用年数の経過した原子炉は段階的に廃炉し、脱原発依存へ転換。核燃料サイクル政策は根本的に見直す。
@社会保障と税の一体改革
・2010年代半ばまでに経済を安定成長路線に乗せ自然増収確保し、その上で財政再建着手。
@円高対策と成長戦略
・急激な円高・株安を踏まえ、2011年度第3次補正予算と12年度予算は積極的な予算編成。
・長期デフレからの脱却と円高の是正をめざし、3年間の集中デフレ脱却期間を設け、マネーサプライの増加など大胆な金融政策を駆使。
@外交・農政・その他
・日米同盟を基軸としアジアの安全保障リスクに対応できる体制構築。海上警察権見直しなど毅然と対応できる体制整備。
<海江田万里経済産業相>
@マニフェスト(政権公約)
・「国民の生活が第一」の実現に全力を尽くす。
・マニフェストの各項目について、漸進的充実、達成を図る。
@震災復興と復興増税
・被災者生活再建に万全期す。建設国債・無利子国債により増税なき復興財源捻出。
@エネルギー政策と原発
・福島第1原発廃炉と放射性物質除染は国の責任で行う。
・2020年代初頭までに、原発依存度を20%以下に引き下げる。原則、新規建設は凍結し、40年以内に原発ゼロ目指す。自然エネルギーを育成、20年代初頭まで総発電量の20%へ。
@社会保障と税の一体改革
・基礎的社会保障財源として、景気回復後に消費税導入検討。
@円高対策と成長戦略
・日銀と協調して金融緩和を進める。為替介入にあわせ資源・エネルギー長期取得権など購入。
・経済連携協定(EPA)を積極的に展開。環太平洋連携協定(TPP)は慎重に検討。
@外交・農政・その他
・日米同盟を深化させ役割分担明確化。「東アジア共同体」構想を中心に地域間の信頼構築。
・食料自給率50%目指す。戸別所得補償制度をさらに充実。
<野田佳彦財務相>
@マニフェスト(政権公約)
・今こそマニフェスト含め政権交代の原点に立ち戻る。
@与野党協力
・与野党間の実務者協議などで協力進める。
@震災復興と復興増税
・PFI(民間資金を活用した社会資本整備)活用し空港や上下水道など社会インフラ整備。
・「特区制度」の活用で被災地の企業誘致を進め、雇用創出。
@エネルギー政策と原発
・福島第1原発事故の安定的な収束実現。安全性を確認した原発の活用で電力安定供給。東日本大規模除染を国が前面に立って展開。
・原子力安全庁を設置。原発の信頼を回復し安全性確認した原発活用で電力安定供給を確保。
@社会保障と税の一体改革
・財政健全化に真摯に取り組む。無駄遣い排除した上で、歳入改革実行。社会保障と税の一体改革を実現する。
・事業仕分けを継続、強化し専任閣僚を充てる。公務員制度改革関連法案の早期成立を目指す。
@円高対策と成長戦略
・過度な外国為替市場の動きには日銀と連携し為替介入を含め断固たる措置。2011年度第3次補正予算を活用した緊急経済対策実行。法人税率5%引き下げの早期成立目指す。
@外交・農政・その他
・日米同盟基軸に、多極化する世界に積極的に対応、全世界と経済連携。
<鹿野道彦農水相>
@マニフェスト(政権公約)
・「国民の生活が第一」の理念の下、一つにまとまり日本を再生。
@与野党協力
・「1票の格差」問題で与野党協議を推進。
@震災復興と復興増税
・震災の復旧・復興と福島第1原発事故対応に全力を集中。子どもなどを最優先に放射能対策実施。
@エネルギー政策と原発
・原発依存の構造を見直し、エネルギーの最適な組み合わせの結論を得て実行。
@社会保障と税の一体改革
・景気動向に配慮しつつ、長期計画の下に着実に取り組む。
・社会保障と税の一体改革は、野党と十分な協議により成案を得て法制化を進める。
@円高対策と成長戦略
・急速な円高に対応し、経済安定化と雇用確保を図る。さらなる金融緩和措置とともに、過去の事例にとらわれずあらゆる可能性を追求、実行。
・経済連携協定(EPA)締結に努力。
@外交・農政・その他
・外交の基軸は日米同盟。中国、韓国と連携し、アジアの繁栄と安全保障に貢献。
