トランプ大統領が2025年1月20日に就任してから8か月と8日になりましたが、就任移行外交・経済・政治は彼によって多くの修正がされ、その度に反発や批判によって修正されたり、沢山の人が職を失ったりしています。

1トランプ大統領は、23日の国連演説でほぼ1時間にわたり世界の諸問題について語り、自らの成果を誇示しつつ、国連や同盟国を激しく批判しました。演説の冒頭ではアメリカが「黄金時代を迎えている」と述べ、自分は複数の戦争を終わらせたと強調しました。これをノーベル平和賞に値する功績だとまで言い、アメリカと自分自身を持ち上げました。
続けて彼は国連そのものに矛先を向けました。国連は声明を出すだけで実際には紛争解決に役立っていない、亡命希望者を支援してアメリカの国境を脅かしていると非難し、自分の演説や訪問を妨害したとも訴えました。確かに国連の限界は専門家の間でも指摘されますが、トランプ氏自身が資金拠出を大幅に削って国連の活動を弱めているため、批判は自己矛盾でもあります。
最も厳しく攻撃したのはヨーロッパでした。再生可能エネルギーへの投資や移民受け入れを「自滅行為」と断じ、移民が欧州の文化や伝統を破壊していると主張しました。さらに気候変動を「世界最大の詐欺」と呼び、グリーンエネルギーに依存する欧州を「失敗する」とまで言い切りました。この言葉には会場から驚きの反応が上がりました。
トランプ関税
第2次トランプ政権では当初から経済と外交が大いに混乱した政策しては『第2次トランプ政権の関税2』というものがありますが、同盟国の日本に対してすら当初24%の関税が設けられ、7月には関税措置をめぐる交渉で15%まで引き下げられました。
トランプ大統領は関税外交でもそうでしたが、最初に大きくふっかけて反応を見て対応をコロコロ変える節があります。
トランプ流交渉術とも呼ばれるその手法は毎回相手を動揺させ、講習を有利に進めようとしているらしいですが、オオカミ少年のようなその振る舞いをTACO (Trump Always Chickens Out / トランプ大統領はいつも尻込みして退く)3という造語も作られ揶揄されていたりします。
第2次トランプ政権でのトランプ大統領の政策や発言を全て取り上げるにはあまりにも多くの出来事がありすぎるのでここまでにして、今月末に彼がとんでもないことをいくつか発言しているのでそちらに注目したいと思います。それらは残りの任期が3年以上あることを考えてもとても頭の痛い発言であり、今後同盟国の日本にも影響がありそうな内容です。
政敵への弾圧
まず、トランプ大統領は27日、西部オレゴン州ポートランドへの派兵を国防長官に指示すると明らかにしました。4これは「移民税関捜査局の施設をアンティファや国内のテロリストによる攻撃から守るため」という理由を挙げていますが、彼の言うアンティファや国内のテロリストというのはアメリカは王政ではないとして「ノー・キングス」と題した抗議集会に参加している人々を指しているからです。彼は22日、反ファシズムを掲げる人たちや運動を指す「アンティファ」を国内テロ組織に指定するための大統領令に署名していて、かつ、派兵しようとしているポートランド市や南部テネシー州のメンフィス、すでに派兵した西部カリフォルニア州のロサンゼルスや首都ワシントンのそれぞれの市長が民主党選出であることから政治的な兼ね合いがあると見られています。
トランプ大統領は19日、国内メディア報道が過度に否定的であり、それゆえに「違法」であると主張しました。5
また、政敵2人を起訴するよう圧力をかけられていたが応じず、トランプ大統領が「辞めさせたい」と述べていたバージニア州東部地区のエリック・シーバート連邦検事が辞任しました。6
トランプ大統領は就任後、彼を批判するメディアや政治家を弾圧するような政策が目立っています。トランプ大統領が米紙ニューヨーク・タイムズに名誉を毀損(きそん)されたとして損害賠償を求めた訴訟を却下されてもいますが、制裁の可能性があるとして番組の無期限休止したABCのキンメル氏のような影響も出ています。
また、報道統制も軍事において始まっており、トランプ大統領に対するネガティブな報道は「違法」である可能性があると示唆しています。
このような報道統制は権力のチェック機能が失われたり民主主義の崩壊に繋がりかねない危うさがあります。そして報道や言論は表現の自由の一部であり、国際人権規約や憲法などで保護されるべきですが、こうした規制や弾圧は権利を侵害しています。
そしてこうした報道統制は最初、軍事・国家安全保障関連情報という「例外扱い」の範囲で始まることが多いですが、一度制度化されると「反体制派」「政府批判派」など幅広な分野に適用が拡大されかねません。
外交と軍事同盟の信頼低下
最後に、トランプ米大統領が台湾に対する4億ドル(約590億円)以上に及ぶ軍事支援を承認しませんでした。中国への配慮と見られています7が、こうした行動は将来、同盟国の日本が侵略の危機に際してもアメリカは行動をしないという可能性を示しています。
一方で「ウクライナは全土を奪還し勝利できる」とトランプ大統領は自身のSNSに投稿8しましたが、これについても同様に一貫性がないとという見方がされています。
トランプ大統領はノーベル平和賞が欲しいようですが、イスラエルによるガザ進行にもイスラエル寄りの発言や政策が問題になっている以上、それは絶対に無理な話でしょう。
それでもなぜ、トランプは支持されるのか: アメリカ地殻変動の思想史 | 会田 弘継 |本 | 通販 | Amazon

- 【解説】 7年前、トランプ氏の発言は国連で笑われた 今年はみんな沈黙した – BBCニュース ↩︎
- 第2次トランプ政権の関税 – Wikipedia ↩︎
- TACO (俗語) – Wikipedia ↩︎
- 「王はいらない」抗議活動 – Wikipedia ↩︎
- トランプ氏、自身に対するネガティブ報道は「違法」と主張 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News ↩︎
- トランプ氏の政敵2人を起訴せよと圧力、屈さなかった連邦検事が「クビ」に 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News ↩︎
- 【速報】米大統領、台湾への軍事支援承認せず|47NEWS(よんななニュース) ↩︎
- トランプ氏「ウクライナは全土奪還できる」大転換?“一貫性ない”との指摘も ↩︎