パソコン遠隔操作事件で、検察側が10日に立証予定事実を記した書面や証拠などを弁護側に開示しました。
その検察の証拠の中に、威力業務妨害罪などで起訴された被告である元IT関連会社社員の男性が今年1月、事件で使われたウイルスの情報が入った記録媒体を首輪に取り付けた猫の存在が公になるその3日前、携帯電話で「猫 首輪」などと検索していた形跡があるとしています。
また、派遣先のPCにC#言語によるプログラミングをするためのソフトがインストールされていたり、「被告が派遣先でC♯を使っていたのを見たことがある」とする元同僚の供述調書も開示しています。
しかしながら、被告の弁護士側はこれらの証拠の中に被告を犯行に結びつける物的証拠が示されておらず、検察の証拠や主張に至る経緯や内容にも疑問点があるとして反論しています。
気になるのは江ノ島の監視カメラの映像であり、猫に被告が触る前後にも他の観光客が接触していたといいます。
また、言葉の検索やWeb観覧履歴がメール作成の証拠になり得るのかは、疑問点が残ります。
そして、弁護側によるとこれまで報道もされていたFBIが突き止めたとされる米国のサーバーに派遣先PCでアクセスした”痕跡”は検察側の主張や証拠では何ら明らかにされておらず、「英語の証拠は一切なかった」としています。
この事件で警察は最初、別の罪もない人を誤認逮捕するという冤罪を起こしています。
ゆえに、この被告を警察や検察は威信をかけて何としても真犯人としたいのが伺えますが、いかんせん決定的な証拠が示されていません。
このような証拠しか集まっていないにも関わらず、検察が証拠隠滅の恐れがあるとして家族への接見や保釈を認めなかったのは一体どんな理由があったというのでしょうか。
検察の出した証拠や主張 | 検察の証拠内容や主張 | 弁護士側の疑問点など |
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江ノ島の監視カメラ | 1月3日午後2:54~3:16の監視カメラ映像。観光客が撮った写真から、この間に猫に首輪が付けられたと時間を特定 | 弁護人が見たところ、この間に5,6人が猫に接触していた。監視カメラの位置が遠く、何をしているかは映像からははっきり分からない。 |
雲取山に記憶媒体を埋めた写真 | 捜査の結果、これは犯人が撮ったのではなく、インターネットのサイトに掲載されていた写真を使ったものと検察は断定。 | 元日に警察が山に上った時には、凍っていたうえ、斜めに掘ったので見つからなかったが、5月16日に再度上って発見した。なぜ元日には斜めに掘ったのか、なぜ5月に再び探しに行ったのかなどは、明らかにされていない。 |
言葉の検索やWeb観覧履歴 | 昨年11月13日には、彼の携帯を使って「警察 作文」「調書 作文」という言葉が、1月2日にも携帯から「江ノ島」「猫、首輪」という言葉の検索履歴がある。昨年10月には、脅迫メールを送られた幼稚園のサイトや、やはり脅迫の対象となったコミケ関連の掲示板を閲覧した履歴がある。 | 履歴がメール作成になりえるかどうか。メール自体が容疑者のPCから発見されておらず、痕跡も検出されていない。 |
派遣先のPCを使って開発と主張 | 1)C#言語によるプログラミングに使うVisual Studio2010が派遣先PCにインストールされていた痕跡がある 2)容疑者がC#でプログラミングをしているのを見たことがあるという派遣先社員の検面調書が1通ある 3)このPCで開発されたことを示す文字列が多数検出された。派遣先のPCは社員たちもパスワードを知っていた。 | 2)の調書は、なぜか捜査が終わる直前の6月15日に作成された。容疑者の能力を知る所属会社の人の調書は一切出されていない。ソースコードに記載されたPCのメーカー名や著作権を示す値が、派遣先PCと矛盾しないと主張しているが、それは書き換えることが可能。弁護人は、今後、検察官の主張を精査し、証拠を詳細に分析する。 |
過去の警察・検察の発表や報道 | ヘッダ | ヘッダ |
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FBIの情報 | FBIが突き止めたとされる米国のサーバーに派遣先PCでアクセスした”痕跡” | 捜査段階にかなり報じられた、米国のサーバーに派遣先PCでアクセスした”痕跡”をFBIが突き止めた、とされる情報についても、検察側の主張や証拠では何ら明らかにされておらず、「英語の証拠は一切なかった」 |
【【PC遠隔操作事件】報じられてきた「決定的証拠」はなかった(江川 紹子) – 個人 – Yahoo!ニュース】
【**被告、「猫」「首輪」の検索履歴…PC遠隔 : 社会 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)】