森喜朗元首相が20日、福岡市での講演で女子フィギュアスケートについて「負けると分かっていた。浅田真央選手を出して恥をかかせることはなかった」と述べ、浅田真央選手を「見事にひっくり返った。あの子、大事なときには必ず転ぶ」と指摘したとスポニチが取り上げ、時事通信は『配慮を欠く発言として批判も出そうだ』とするなど日本のメディアが報じ、ネットでは森元首相に対する批判が集まりました。
森元首相の発言は海外でも取り上げられ、米NBCのニュース番組のサイトでは『なぜオリンピックスケーター浅田真央は歓迎のパフォーマンスの後に泣いたのですか?(Why did Olympic skater Mao Asada weep after hailed performance?)』で浅田真央選手の涙の理由は喜びや安堵よりも「ストレス」であり、ストレスの原因として前日のショートプログラムでの失敗と前首相で2020年の東京オリンピック委員会会長からの批判があったと分析しています。
森喜朗元首相の福岡市での講演での発言の全文を読むと、団体戦に出場しなくてはいけなくなった浅田真央選手を気遣う内容だったのですが、言葉の選び方に問題があることもあって、マスコミが発言を切り取って批判していたことが分かります。
安倍政権の周辺人物が失言をしていると煽っている日刊スポーツが朝日新聞と強い関係があるように、森元首相が浅田真央選手について批判していると報じたスポニチの親会社は毎日新聞であり、産経新聞までがこの発言を巡って報道しているのは、自民党政権に批判的な日本のメディアが浅田真央選手を政争の具に利用している異常な状況が背景にあったりします。
オリンピックになると日本では毎度のようにマスコミが選手を追いかけ引っ張り回し金メダルを穫れとプレッシャーをかけ、メダルを取れなかったら批判したり報道しないという最悪な状況となっています。
また、日本の代表としてオリンピックに参加している選手を国民らが「税金の無駄遣い」だとか、メダルを取れないと「下手くそ」などと誹謗中傷している人もいるそうです。
私は毎回そういう日本国内の浅ましい光景を見るにつけ、嫌気が差しているのが現状です。
オリンピック選手が金を逃して銀になったのを、頑張ったのに惜しかったと一緒に悔しがるのが代表選手への敬意だろう。
メダルも取れなかった選手の報道がお通夜状態だったり、そもそも取り上げない日本のメディアは最悪だし、国内で見かける選手への中傷する人こそ残念極まりないし情けない。
— Tomo (@cutplaza) 2014, 2月 20
日本時間の深夜から朝方にかけて行われた女子フィギュアスケートフリースタイルで、浅田真央選手は前日の失敗を他所に、素晴らしいパーフェクトな演技をしていました。
ネットでは彼女の演技を見た人々が一斉に彼女を褒め称え、海外からも惜しみないエールが送られていました。
Mao Asada (@USATsportsImage) pic.twitter.com/9EHzbN6mzW
— Joe Fleming (@ByJoeFleming) 2014, 2月 20
前日のショートプログラムでの失敗が響いたこともあり、浅田真央選手は6位でメダルを逃しましたが、フリースタイルでの演技は彼女のこれまで研鑽したフィギュアスケート人生の集大成であり、多くの人に感動を与え、今回のオリンピックに関連した日本のマスコミの残念な報道等による私の頭の中のモヤモヤを一掃してくれた出来事の一つでした。
Mao Asada, WOW!!! What a skate! What a fighter! 142,71
— Joannie Rochette (@JoannieRochette) 2014, 2月 20
ジョアニー・ロシェット氏
カナダのフィギュアスケート選手。2010年バンクーバーオリンピック銅メダリスト。2009年世界選手権2位。
Mao Asada – made me cry…. a performance that we will all remember forever!
— Michelle Kwan (@MichelleWKwan) 2014, 2月 20
ミシェル・クワン氏
元フィギュアスケート選手。1998年長野オリンピック女子シングル銀メダリスト。2002年ソルトレイクシティオリンピック女子シングル銅メダリスト。5度の世界フィギュアスケート選手権優勝、9度の全米フィギュアスケート選手権優勝。
I had tears in my eyes. Thank you Mao! Magnificent.
— Jeffrey Buttle (@J_Butt) 2014, 2月 20
ジェフリー・バトル氏
2006年トリノオリンピック男子シングル銅メダリスト。羽生結弦選手のショートプログラムの振り付けを担当。
Sochi. Ladies free skate! Mao Asada! WOW!!! Bravo!!! So sad for her short! 🙁
— Alexei Yagudin (@yagudinofficial) 2014, 2月 20
アレクセイ・ヤグディン氏
ロシアのプロフィギュアスケーター。2002年ソルトレイクシティオリンピック男子シングル金メダリスト。世界選手権3連覇を含む優勝4回。
Mao – you was great, special thanks for Axel 3,5! You're real fighter!! #Sochi2014
— Evgeni Plushenko (@EvgeniPlushenko) 2014, 2月 20
エフゲニー・プルシェンコ氏
ロシアのフィギュアスケート選手。2006年トリノオリンピック金メダリスト。2002年ソルトレイクシティオリンピック及び2010年バンクーバーオリンピック銀メダリスト。2014年ソチオリンピック団体戦金メダリスト。世界選手権優勝3回、欧州選手権優勝7回、グランプリファイナル優勝4回。ロシア連邦功労スポーツマスター。
【森元首相 真央に「あの子、大事なときには必ず転ぶ」 ― スポニチ Sponichi Annex フィギュアスケート】
【時事ドットコム:浅田選手は「大事なとき転ぶ」=森元首相】
【【ソチ五輪】森会長の発言要旨 「真央ちゃん、見事にひっくり返りました」 – ソチ冬季五輪2014 – MSN産経ニュース】
【森喜朗 元総理・東京五輪組織委員会会長の発言 書き起し – 荻上チキ・Session-22】
■フィギュア浅田真央選手について
今朝も真央ちゃんが最後ひっくり返った時は、4時だったと覚えておりますが。皆さんそれご覧になると、それまでずーっと真央ちゃんがまだ30番目で一番あとだったもんだから。ずーっと皆見てるわけでしょ、あれ。ショートプログラムだから、1回何分かな。3分半くらいかな。そんなもんだったと思いますけど、それ全部やって一番最後に真央ちゃん。なんとか頑張ってくれと思って皆見ておられたんだろうと思いますが、見事にひっくり返っちゃいましたね。あの子、大事なときには必ず転ぶんですよね。なんでなんだろうなと。
僕もソチ行って、開会式の翌日に団体戦がありましてね、あれはね、出なきゃよかったんですよ日本は。あれは色んな種目があって、それを団体戦で。特にペアでやるアイスダンスっていうんですかね。あれ日本にできる人はいないんですね。あのご兄弟は、アメリカに住んでおられるんだと思います確か。ハーフ。お母さんが日本人で、お父さんがアメリカ人なのかな。そのご兄弟がやっておられるから、まだオリンピックに出るだけの力量ではなかったんだということですが、日本にはいないもんですから、あの方を日本に帰化させて日本の選手団で出して、点数が全然とれなかった。
あともう皆ダメで、せめて浅田さんが出れば3回転半をすると、3回転半をする女性がいないというので、彼女が出て3回転半をすると、ひょっとすると3位になれるかもしれないという淡い気持ちでね。浅田さんを出したんですが。また見事にひっくり返っちゃいまして、結局、団体戦も惨敗を喫したという。
その傷が浅田さんに残ってたとしたら、ものすごくかわいそうな話なんですね。団体戦負けるとわかってる、団体戦に何も浅田さんを出して、恥かかせることなかったと思うんですよね。その、転んだということが心にやっぱ残ってますから、今度自分の本番のきのうの夜はですね、昨日というか今朝の明け方は、なんとしても転んじゃいかんという気持ちが強く出てたんだと思いますね。いい回転をされてましたけど、ちょっと勢いが強すぎたでしょうかね。ちょっと転んで手をついてしました。だからそういうふうにちょっと運が悪かったなと思って見ております。
【Mao Asada criticized after tough short program ? and before stellar free skate | OlympicTalk】
【Why did Olympic skater Mao Asada weep after hailed performance? – TODAY.com】
