わたしの父親は沢山友達がいて、いい人だとか良い父親だとか言われていたようだれけど、わたしからしてみればいつ噴火するか分からない人といっしょに暮らしているようなものであり、わたしはいつもビクビクとして子供時代を過ごしていました。
そのため人の感情を見ただけで分かるような子供になってしまい、晩ごはんの時間になりリビングに座った父親が、どうも機嫌が悪いようだと思ったらテーブルをひっくり返して、これから食べようとしていたご飯を台無しにして、自分は外に食べに行ってしまったりするのをよく見送っていました。
他所の子はクリスマスになるとゲームを買ってもらったりしていたのですが、ゲームは絶対に買ってもらえなくて、お正月のお年玉だって勉強の本を買えとか言われるような家庭に育ったものですから、他所の子が本当に羨ましかったんですね。
中学生に時に、ついにお年玉とかを貯めて自分でゲーム機をこっそり買いました。
夜中にみんなが寝静まった頃にゲームを引っ張り出して遊んでいたら、ある晩見つかってゲームは取り上げられてしまい、そのゲームはわたしに戻ってくることはなく、父親は親戚の子供にあげてしまいました。
父親はその親戚の子供や親から感謝されて、またいい人になっていたんですね。
このゲーム機を取り上げられたときに、わたしは漫画だけでなく色んな本を一緒に取り上げられてしまいました。
わたしは友達はいたけれど、わりと一人で遊ぶことの多い子供時代を過ごしていましたから、本をよく読んでいました。
童話のような本や図鑑もよく読んでいました。
それらも今見つからないということはどうやらその時の犠牲になって親戚の家に持っていかれたのでしょう。
昨年、わたしはその時無くなった本を一冊購入しました。
Amazon.co.jp: Z1それいけズッコケ三人組 (ポプラ社文庫 A 145) : 那須 正幹, 前川 かずお: 本
子どものときに読んだときのように面白かった。
この中で幽霊の話があるのだけれど、本当にゾッとした。
よく考えればあの父親もとうに亡くなっているし
子どもの時に無くした本を少しずつでも取り戻せる大人にわたしはなっていたんだなぁと気が付きました。
次は図鑑を取り戻そうかな。
今ようやく自由に生きられるのだけど、子どもの時に受けた傷は大人になってもふとした瞬間に襲いかかってきて、なんだかあのときの悲しさをいつまでも思い返しているのです。
少しでも心の傷を埋めるように本を取り戻していこう。