静岡の知事さんが何を言ったのか訓示全文を読んでみた

静岡の知事さんが何を言ったのか訓示全文を読んでみた

ここ最近静岡県の川勝知事という方が静岡県庁で行われた新規採用職員向けの訓示での発言の内容が批判されているのですね。
産経新聞の4月2日の記事によれば知事は「県庁はシンクタンク。毎日毎日、野菜を売ったり、牛の世話をしたり、モノを作ったりとかと違い、基本的に皆さんは頭脳、知性の高い方。それを磨く必要がある」などと述べたとされています。1

静岡の知事さんが何を言ったのか訓示全文を読んでみた
たぶん余計なこと言っちゃうおじさんの典型だと思う。

この内容どおりならば職業差別とも取れるもので農業や牧畜などの肉体労働に従事する人々と知的・文化的な職に従事する人々との間に不要な格差や偏見を助長する可能性があるわけです。

2そこで同じく2日にアベマタイムズで訓示全文が公開されているのでその発言の箇所を読んでみました。

とにかく長い。これは前もって用意した原稿を読んだのかわからないのですが、話の脈絡があっちに行ったりこっちに行ったりしているのです。

お話が好きな人特有の、要らないこと言っちゃうタイプの人のような気がします。

とりあえず全体を要点だけ抜き出していきます。

川勝平太、静岡県知事が令和6年度4月1日に職に就いた静岡県庁の新職員を歓迎する発言。
県庁の新職員は5800人おり、233人が同期入庁し、77人が本庁、残り156人が出先機関に配属。
能登半島での大地震とその影響について言及。
静岡県は東海地震、南海トラフの巨大地震などの大規模な地震に備え、防災訓練を毎年実施。
南海トラフの巨大地震が発生した場合、静岡県だけで10万人以上の犠牲者が出る可能性がある。
能登半島の地震が他人事ではなく、静岡県民もその影響を受ける可能性があると強調。

危機管理の重要性: 地震や他の災害がいつ発生するかわからないため、自己の危機管理を最優先にしつつ、人を助けることが重要である。
防災訓練: 抜き打ちの場合には防災訓練が行われる可能性があり、それに備えて落ち着いて行動することが求められる。
公務員の役割: 静岡県庁として360万人の人たちの生命と財産を守る責任があり、公務員としての役割を遵守することが必要。
職員の態度と品性: 職員は「身に私をかまえない」こと、心は素直で嘘偽りを言わないこと、上司にへつらわず下に威張らない態度が求められる。
言葉遣いと礼儀: 言葉遣いや礼儀正しい態度が非常に重要であり、年齢や責任の違いに関わらず、常に尊敬と敬意を持って接することが強調されている。
人の助けになる姿勢: 「人の艱難はこれを見捨てない」態度を持つことが大切で、他部署や他の担当であっても助けられる方法を一緒に考える姿勢が求められる。
富士山との関連: 静岡県のシンボルである富士山に恥ずかしいことをしない態度を持ち、自分自身を富士山のように品格を持って振る舞うことが望ましい。

情理を尽くすことの重要性: 他者とのコミュニケーションにおいて、理論だけではなく情感(HEART TO HEART)をもってアプローチすることが効果的であると強調。
知識と感性のバランス: 静岡県庁の職員は高い知性を持っており、知識を磨くことはもちろん、感性も豊かにすることが重要であると述べる。
文武芸の重要性: スポーツだけでなく、芸術や文化活動にも積極的に参加し、心身ともに健康で豊かな人間性を目指すことが推奨されている。
人間性の向上: 他者に情けをかけることは、単なる善行ではなく、自分自身の成長や豊かさにもつながるとの考えを示唆。
自らの価値観と行動指針: 講演の最後に、自身が重視する行動指針として、「来るものを拒まない」、「助力を惜しまない」、「見返りを求めない」という三つの原則を挙げている。

移住の増加: 静岡県は移住希望地として4年連続で日本一であり、移住者数が年々増加している。特に30代前後の人々が増加しており、静岡の豊かな食材や自然環境、オンラインでの仕事が可能な環境、交通の便などが移住の理由とされる。
文化活動の成功: 2023年に静岡が東アジア文化都市の日本代表となり、過去の記録を塗り替えるほどの人々が文化活動に参加。文化活動に関連する事業件数も増加し、経済波及効果も大きい。
世界クラスの地域資源と人材: 富士山やお茶畑、ワサビなどが世界遺産や世界農業遺産として認定され、静岡県内での世界クラスの地域資源と人材が150件以上存在する。
国際的評価: 国際連合の「サスティナブル ディベロップメント ゴールズ(SDGs)」において、日本が一番理想に近い国であるとの指摘があり、静岡県がその中でも理想に近いと評価されている。

イベントと公園の紹介: 3月23日から浜松の浜名湖畔にある「フラワーパーク」と「ガーデンパーク」が開放されている。特に「花博2024」が6月初めまで開催されており、ガーデンパークには多くの見どころがある。
世界的な評価: 「チェルシーフラワーショー」の影響を受けた世界で最も美しい庭を作れる人、石原和幸さんが花博2024のために特別な展示を行っている。
食材と花の多様性: 静岡県は439種類の食材と704品種の花を持っており、「食の都」と「花の都」としての自然の豊かさをアピールしている。
地域の多様性: 浜松はものづくりの商工業のイメージが強いが、自然美も豊かであることを強調している。

発言の構成が独特で新職員の歓迎と地震リスクの説明を一つのスピーチで結びつけてしまうことで、メッセージの明確さや伝達の効果が損なわれる可能性があるのですね。
多分この人は言いたいことをどんどん言っちゃう人なんだという印象を受けました。考えたことを言っちゃうせいで要らぬ反感を受けたりするタイプで、こういう人ほど公でなにか言うときには原稿を作って更正したほうがいいと思います。でも、年齢とか実績がそれをできなくなしているタイプ。重要な情報提供という点では彼の発言は有用かもしれませんが、そのタイミングや文脈、そして具体的な対策やアクションについての情報が不足しているため、誤解や不安を招く可能性があります。
要所要所では良いことを言っているのに、一箇所要らないことを言って怒られて、前の発言でした約束に縛られて知事を辞めることになってしまったのですね。

そして長ったらしくてまとめられてないから結果として伝わりにくいです。

発言内容が多岐にわたり、地震や災害、公務員の役割、態度や品性、言葉遣い、人助けの姿勢、そして富士山といった多岐にわたるテーマを一つのスピーチで取り上げています。このため聴衆に対してメッセージが難解になり、伝わりにくい可能性があるのです。

「富士山に向かって恥ずかしいことをしない」といった抽象的な表現が使用されていますが、では一体これが具体的な行動や態度としてどう実現されるべきかが不明瞭なんです。

次に「HEART TO HEART」や「文武芸、三道鼎立」といった特定のフレーズや表現はもう何が言いたいのか分からなくて、御本人もわかってるかなんですが、なるべく明瞭に文章を作ったほうが良いです。

静岡県は移住希望地として4年連続で日本一という話をしだしたかと思ったら「ウクライナであるとか、あるいはガザ」の話をし始めているのはどうしたことだろうと思います。

それで問題の箇所ですが以下のように発言していました。

そしてですね、そのためにはやっぱり勉強しなくちゃいけません。実は静岡県というのを県庁というのは、別の言葉で言うとシンクタンクです。毎日毎日、野菜を売ったり、あるいは牛の世話をしたりとか、あるいは物を作ったりとか、ということと違って、基本的に皆様方は頭脳、知性の高い方たちです。ですから、それを磨く必要がありますね。それは磨き方、いろいろあります。知性を磨くということ。それからですね、やっぱり感性も豊かにしなくてはいけない。体がしっかりしてないといけませんね。ですから、文武芸、三道鼎立と。文武両道で言うでしょう。しかしですね、美しい絵を見たり、いい音楽を聞いたり、映画を見たり、演劇を見たりした時に感動する心というものがあると望ましい。ですから、自分の知性があの人におよばないなと思っても、知性というものを大切にするということが大事ですね。そのためには勉強しなくちゃいけません。

これが産経新聞の4月2日の記事によれば知事は「県庁はシンクタンク。毎日毎日、野菜を売ったり、牛の世話をしたり、モノを作ったりとかと違い、基本的に皆さんは頭脳、知性の高い方。それを磨く必要がある」とまとめられています。

これを要らないことを省いて伝えたい箇所のみに直したら以下のようになると思うんです。

私たちが成長していくためには、日々学び続けることが大切です。静岡県庁は、言い換えれば一つの情報やアイデアを集める場所とも言えます。県庁の皆さんは多くの知識やスキルを持った方々です。それらをさらに高めるための方法はいくつかあります。知識やスキルを向上させることはもちろん、感受性や健康も大切です。言い換えれば、学問や実践、そして芸術など、多様な面での成長を目指すことが重要です。美しい絵や音楽、映画や演劇を楽しむことで感動する心を育むことも大事です。自分と他者を比べるのではなく、それぞれの成長を大切にすることが、真の学びと成長への道です。

人に思いを伝えるときには言葉を使いますが、伝えるべきを伝えて誤解を与えないようにすることがとても大切です。

おそらくは知事になられるということはそれだけ期待もされて知事になったのだと思うのです。
なので色々問題があってこうして矢面に立たされる場面もあったのだと思いますが、もし伝え方が違っていたら結果は変わっていたのかもしれないなぁと感じました。

  1. 静岡県・川勝知事「野菜売ったり牛の世話と違う」新規採用職員に訓示 職業の比較で物議 – 産経ニュース
    https://www.sankei.com/article/20240402-5K6FOJH7B5PL5NZJJTWQ6XI2TU/ ↩︎
  2. 【訓示全文】静岡県・川勝知事、新入職員へ複数訓示も「野菜を売ったり牛の世話をするのと違って知性が高い」職業優劣発言か(ABEMA TIMES) – Yahoo!ニュース
    https://news.yahoo.co.jp/articles/aa84967ca4481552dd65b1152263f99b289e5d14 ↩︎
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