母子殺害事件、元少年の死刑確定 本村さん「社会正義示された」 NHKなど実名報道

山口県光市で1999年に起きた母子殺害事件の差し戻し後の上告審判決が20日あり、当時18歳の少年だった被告(30)の上告を棄却しました。これにより死刑とした差し戻し後の二審・広島高裁判決が確定します。

天国からのラブレター (新潮文庫)

今回の事件は当初から、その余りにもひどい事件の内容が死刑もありうることに加え、被告が少年であったこと、常識ではありえない被告の発言などに注目の集まる事件でした。

最愛の妻と幼い娘の命を奪われた本村洋さんの長い闘いの日々が報われましたが、それは必ずしも喜びに繋がることには決してならないという事にご心中、お察し申し上げます。
これより先は亡きご家族のためにも楽しき人生をどうぞお過ごしください。

光市母子殺害事件 – Wikipedia光市母子殺害事件 - Wikipedia

中日新聞:光市母子殺害事件の最高裁判決要旨 :社会(CHUNICHI Web)中日新聞:光市母子殺害事件の最高裁判決要旨 :社会(CHUNICHI Web)

 20日に言い渡された光市母子殺害事件の最高裁判決の要旨は次の通り。
 犯行時18歳だった被告は暴行目的で被害者を窒息死させて殺害し、発覚を免れるために激しく泣き続けた生後11カ月の長女も床にたたきつけるなどした上で殺害した。
 甚だ悪質で、動機や経緯に酌量すべき点は全く認められない。何ら落ち度のない被害者らの尊厳を踏みにじり、生命を奪い去った犯行は、冷酷、残虐で非人間的。結果も極めて重大だ。
 殺害後に遺体を押し入れに隠して発覚を遅らせようとしたばかりか、被害者の財布を盗むなど犯行後の情状も悪い。遺族の被害感情はしゅん烈を極めている。
 差し戻し控訴審で、故意や殺害態様について不合理な弁解をしており、真摯(しんし)な反省の情をうかがうことはできない。平穏で幸せな生活を送っていた家庭の母子が白昼、自宅で惨殺された事件として社会に大きな衝撃を与えた点も軽視できない。
 以上の事情に照らすと、犯行時少年であったこと、被害者らの殺害を当初から計画していたものではないこと、前科がなく、更生の可能性もないとはいえないこと、遺族に対し謝罪文などを送付したことなどの酌むべき事情を十分考慮しても、刑事責任はあまりにも重大で、差し戻し控訴審判決の死刑の量刑は、是認せざるを得ない。
 【宮川光治裁判官の反対意見】
 被告は犯行時18歳に達していたが、その年齢の少年に比べて、精神的・道徳的成熟度が相当程度に低く、幼い状態だったことをうかがわせる証拠が存在する。
 精神的成熟度が18歳に達した少年としては相当程度に低いという事実が認定できるのであれば「死刑を回避するに足りる特に酌量すべき事情」に該当しうる。
 被告の人格形成や精神の発達に何がどう影響を与えたのか、犯行時の精神的成熟度のレベルはどうだったかについて、少年調査記録などを的確に評価し、必要に応じて専門的知識を得るなどの審理を尽くし、再度、量刑判断を行う必要がある。審理を差し戻すのが相当だ。
 【金築誠志裁判官の補足意見】
 人の精神的能力、作用は多方面にわたり、発達度は個人で偏りが避けられないのに、精神的成熟度の判断を可能にする客観的基準はあるだろうか。
 少年法が死刑適用の可否について定めているのは18歳未満か以上かという形式的基準で、精神的成熟度の要件は求めていない。実質的な精神的成熟度を問題にした規定は存在せず、永山事件の最高裁判決も求めているとは解されない。
 精神的成熟度は量刑判断の際、一般情状に属する要素として位置付けられるべきで、そうした観点から量刑判断をした差し戻し控訴審判決に、審理不尽の違法はない。

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平成11年、山口県光市で主婦と幼い娘を殺害した罪に問われた当時18歳の元少年について、最高裁判所は、「何ら落ち度のない被害者の命を奪った残虐で非人間的な犯行で、犯行当時、少年であっても刑事責任はあまりにも重大で死刑を是認せざるをえない」として上告を退け、死刑が確定することになりました。
平成11年、山口県光市で主婦の本村弥生さん(当時23)と生後11か月だった娘の夕夏ちゃんが殺害された事件では、当時18歳だった大月(旧姓福田)孝行被告(30)が殺人などの罪に問われました。
1審と2審の判決は無期懲役でしたが、最高裁判所が審理のやり直しを命じたのを受けて、4年前、広島高等裁判所が死刑を言い渡し、被告側が上告していました。
20日の判決で、最高裁判所第1小法廷の金築誠志裁判長は、「何ら落ち度のない被害者の命を奪った冷酷、残虐で非人間的な犯行で、遺族の処罰感情はしゅん烈を極めている」と指摘しました。
そのうえで、「被告が犯行当時少年で、更生の可能性もないとは言えないことなど酌むべき事情を十分考慮しても刑事責任はあまりにも重大で、死刑を是認せざるをえない」と述べ、被告側の上告を退けました。
これによって、死刑が確定することになりました。
被告は犯行当時、18歳と1か月で、最高裁に記録が残っている昭和41年以降、死刑が確定する年齢としては最も低くなります。
一方、判決では4人の裁判官のうち1人が、「被告の育った環境などを考えると精神的な成熟度が相当低い可能性があり、死刑を避ける必要があるかどうか、さらに審理が必要だ」という反対意見を述べました。
最高裁で死刑が確定する事件で、反対意見が付くのは初めてとみられ、元少年に死刑を言い渡すかどうか、裁判官の中でも意見が激しく対立したことがうかがわれます。
判決について、最高検察庁の岩橋義明公判部長は、「社会に大きな衝撃を与えた凶悪な事件であり、最高裁判決は妥当なものと考える」というコメントを出しました。
一方、被告の弁護団は、「被告に殺意はなかったことは専門家の鑑定などで明らかになっていたのに、裁判所は事実を真正面から検討しようとせず、判断を誤っており、極めて不当だ。被告は、逮捕以来13年間、被害者の無念さ、遺族の憤りを真摯(しんし)に受け止め、反省の日々を送っている。誤った判決を正すため、今後も最善を尽くしたい」というコメントを出しました。

NHKは、少年事件について、立ち直りを重視する少年法の趣旨に沿って、原則、匿名で報道しています。
今回の事件が、主婦と幼い子どもが殺害される凶悪で重大な犯罪で社会の関心が高いことや、判決で元少年の死刑が確定することになり、社会復帰して更生する可能性が事実上なくなったと考えられることなどから実名で報道しました。

少年事件は厳罰化の傾向

少年の事件では、少年の立ち直りの可能性を考慮して成人とは異なる取り扱いをすることになっていますが、厳罰化の傾向が強まっています。
少年が事件を起こしても成人に比べて未熟だとされる少年の立ち直りの可能性を考慮して、18歳未満には死刑を言い渡すことができないなど法律上、成人とは異なる取り扱いをすることになっています。
これまで、少年に死刑が言い渡されたのは、▽市民4人を射殺して平成9年に刑が執行された永山則夫元死刑囚の事件や、▽千葉県市川市の一家4人が殺害された事件など被害者が多い例外的なケースに限られてきました。
こうしたなか、少年による凶悪な事件が相次いだことを受けて、平成12年に少年法が改正され、刑罰を科す対象の年齢が引き下げられたほか、重大な事件を起こした16歳以上の少年は原則として起訴されるようになりました。
平成18年に今回の事件の裁判で、最高裁が、「少年というだけでは死刑を避ける決定的な理由にならない」という判断を示したことは、その流れを決定づけました。
おととし11月には、宮城県石巻市で、若い女性2人が殺害された事件の裁判員裁判で、当時18歳の少年に死刑が言い渡され、裁判員は、判決後の会見で、「人の命を奪う罪は年齢を問わず、大人と同じ刑で判断すべき」と述べました。
20日の最高裁の判決は、少年であっても凶悪な事件を起こした責任や結果を重視するという姿勢を改めて示したもので、少年による重大事件の厳罰化の傾向がさらに強まりそうです。

光市現場は取り壊しへ「事件忘れたい」 – 社会ニュース : nikkansports.com光市現場は取り壊しへ「事件忘れたい」 - 社会ニュース : nikkansports.com

 母子殺害事件の現場となった山口県光市のアパートでは20日、本村弥生さんと長女夕夏ちゃんが殺害された4階の部屋の玄関前に花束や菓子が供えられていた。

 事件から13年近く。当時から近くに住む女性(40)は「夕夏ちゃんが生きていたら自分の子どもと同い年で、一緒に学校に通っていたかもしれない」と振り返った。最高裁判決については「2人の人生をああいう形で絶ったのは少年とはいえ許されない。判決は妥当だと思う」と力を込めた。

 現場となった部屋の窓は白いカーテンで閉ざされたままで、当時を知る住人は少なくなった。建物は老朽化が進み、全部で20棟あるアパートは、事件があった棟も含め、大半の取り壊しが決まっているという。

 大月孝行被告(30)が住んでいた棟の住人だったという男性(70)は「当時18歳で精神的にも未熟な時期で、死刑は少し気の毒ではないか」とぽつり。近所で事件が話題になることはほとんどないといい、当時のことを尋ねると「もう事件のことは忘れたい」とうつむいた。

時事ドットコム:「社会正義示された」=死刑考え、悩んだ13年間-「喜びなく、厳粛」・本村洋さん時事ドットコム:「社会正義示された」=死刑考え、悩んだ13年間-「喜びなく、厳粛」・本村洋さん

 山口県光市の母子殺害事件発生から13年。5回の判決を経て、当時18歳だった大月(旧姓福田)孝行被告(30)の死刑が確定することになった。「社会正義が示された」。最愛の妻と幼い娘の命を奪われた本村洋さん(35)は、厳しい表情を崩すことはなかった。
 被告側の上告を棄却した20日の最高裁判決を受けて同日午後、東京・霞が関の司法記者クラブで記者会見。「社会の皆さんに関心を持っていただいた。長い間、裁判を続けてくれた裁判官、検察官、弁護人にも深く感謝します」と頭を下げた。
 「大変満足しているが、喜びの感情は一切ない。厳粛な気持ちで受け止めないといけない」。うっすら涙を浮かべ、真剣な表情で判決の感想を述べ、「死刑について考え、悩んだ13年間だった」と振り返った。
 犯行時少年の死刑判決は例が少ないが、一貫して極刑を求め続けた。会見では「彼が犯したことは許されることではない。死の恐怖を通して罪の重さをかみしめてほしい」と強く訴えた。弥生さんと夕夏ちゃんには、21日に墓前で報告する。
 事件直後は、家族を守れなかった自分を責め、自殺も考えた。「時間は最良の相談相手だった」。怒りの気持ちも年月とともに収まり、冷静に考えられるようになった。
 刑事裁判の在り方にも一石を投じた。「全国犯罪被害者の会」の幹事として、被害者の権利拡充に奔走。犯罪被害者等基本法の制定、被害者参加制度の導入などを実現した。「達成できたことが何よりうれしい」と語った。
 2009年に再婚した。2人の命日には毎年、夫婦で墓前で手を合わせているという。今後については、「支えてくれた人に感謝して生きていきたい」と話した。(2012/02/20-20:00)

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