台湾では、「ニホンウナギ」の稚魚が不漁で、うなぎの養殖から撤退する業者が増えているとして、「オオウナギ」という別の種類のうなぎを日本市場向けに養殖する技術の確立を急いでいるそうです。
オオウナギは中国や台湾では薬膳スープの材料として人気ですが、普通のうなぎに比べて不味いというのが通説ですね。
日本ではそもそもオオウナギは天然記念物ですので、日本のオオウナギは食するのは駄目なんでしょうが、台湾では北部にある水産試験場が3年前から本格的に研究を進めていたり、養殖の環境が整っていたのですね。
オオウナギは本来1匹1キロになるまで育てますが、蒲焼きにしやすい200グラム程度の大きさで商品化が出来ればニホンウナギの代替品になると期待されています。
愛媛県のうなぎ輸入業者と北九州市でうなぎ料理店を営む人が台湾を訪れ「白焼き」のオオウナギを試食したところ、やはりニホンウナギよりも身も皮も固く、香りが弱いそうで、オオウナギは白焼きよりも蒲焼きにしたほうがよく、タレの味も濃い目のがよいという意見が出ているようです。
また、ウツボやアナゴといったうなぎに似た魚や、オーストラリアのタスマニア産のうなぎなども、これから注目されることになるのでしょうね。
しかしながら、台湾や中国やアメリカから輸入したうなぎでは過去に化学薬品などが検出されるなどの事故が起きており、海外製のうなぎの場合は輸送費などのコスト以外にも、そういった安全面でのリスクもはらんでいるといえます。
【台湾 オオウナギを日本向けに養殖 NHKニュース】
台湾では、「ニホンウナギ」の稚魚の不漁が続き、うなぎの養殖から撤退する業者が相次いでいることを受けて、「オオウナギ」という別の種類のうなぎを日本市場向けに養殖する技術の確立を急いでいます。
日本の業者の反応は
ニホンウナギの稚魚の不漁が続いて、価格が高騰するなか、台湾の業者が代替品として養殖したオオウナギを、日本の輸入業者らが試食しました。
このオオウナギは、フィリピン産の稚魚を台湾南部の業者が養殖したもので、日本市場で受け入れられるかどうか探るため、愛媛県のうなぎ輸入業者、竹内千春さんと、北九州市でうなぎ料理店を経営する緒方弘さんが、台湾を訪れ、現物を確認しました。
たれをつけない「白焼き」のオオウナギを試食した2人によりますと、ニホンウナギと比べて、香りが弱く、身も皮も固めだということです。
そのうえで、2人は「オオウナギは白焼きよりにするより、かば焼きにしたほうがよく、たれの味つけも濃くしたほうがよい。うなぎ専門店で商品として出すのは難しいが、値段が安ければ、量販店などで売れる可能性はある。こうした代替品が日本に入ってくることで、ニホンウナギの価格を押し下げる効果が期待できる」と話していました。
全国の水産業者が集まる国内最大の商談会「ジャパンインターナショナルシーフードショー」が18日から東京で始まり、価格が高騰しているウナギの代わりとして売り出すウツボやアナゴのかば焼きなどに注目が集まりました。
さらに、国内では、まだ、あまり出回っていないオーストラリア、タスマニア産のウナギも登場しました。
輸入のコストを考えても国産より割安だとして、外食産業の担当者たちが、味や流通量について、輸入した業者と情報交換をしていました。
【ウナギ、7~8割が輸入!1位中国、2位台湾 – SankeiBiz(サンケイビズ)】
10年はウナギの国内消費量が約7万4千トン。このうち72%に当たる約5万3千トンが輸入で、輸入量のトップは中国の約4万1千トン、次いで台湾が約1万2千トンで、輸入のほとんどを占めている。
また、ウナギは稚魚のシラスウナギを池で育てた養殖ものが大部分を占めるが、国内の不漁でシラスウナギの輸入量も増加している。
【ウナギ:取引規制を米が検討 ワシントン条約の対象に- 毎日jp(毎日新聞)】
米政府が今年4月に公表した官報によると、米国は世界自然保護基金(WWF)など環境団体の提案に基づき、アメリカウナギとその類似種について、「現在は絶滅の恐れはないが、取引を厳重に規制しなければ絶滅の恐れがある」と定める規制を適用すべきか検討を始めた。
同条約ではアメリカウナギと同じく大西洋に生息するヨーロッパウナギが07年に規制対象になっており、米政府は「ヨーロッパウナギへの規制で、アメリカウナギの需要が拡大する可能性がある」と懸念を表明。太平洋のニホンウナギは稚魚の段階でアメリカウナギと区別がつきにくいことから、取引の規制対象として検討されているとみられる。
