悪者にされる「シリコーン」特有の”パーマがかからない・頭皮に付着”は間違いとノンシリコンシャンプーのリンスにはシリコン配合という矛盾

先日パーマをかけるといういつも来られるお客様の髪を触ると、ゴワゴワというかパサパサになっていて、お客様が自分で扱うのも大変なことになっていたのですね。
聞くと、ドラッグストアなんかに最近大々的に宣伝されている『ノンシリコンシャンプー』を使ったらこうなったというのです。
それでパーマの処理の際に幾つかトリートメントをして柔らかく手触りの良い仕上がりにしました。

悪者にされる「シリコーン」特有の

ノンシリコンシャンプーを悪く言うつもりはなくて、そのお客様の髪の状態が染めていたり、くせ毛の乾燥毛なのでシャンプーやトリートメントが髪質に合ってなかったとか、ブローの仕方や処理がまずかったということなのだろうと思うのです。

さて、最近のノンシリコンシャンプーの流行りというのは、世間で言われている『シリコーン』の悪評によるものが多いのでしょうか。
以下の様なシリコーンにまつわる悪い評判があるようです。

世間で認識されているシリコーンの悪評

・パーマやカラーリングの施術を阻害する。
・頭皮に付着する。皮膚に浸透する。
・毒性がある。副作用が起きる。アレルギーを引き起こす。

美容師の間でも、近年までシリコーンを毛嫌いしていた傾向がありました。
ただ、それは30年ほど昔の「アミノ変性シリコーン」とか「シリコーンオイル」の出始めに言われていた話が受け継がれた結果なのでしょうね。

しかし、これらシリコーンの悪評はすべて間違いです。

ここ最近になって、かなり科学的な面から実証する美容師さんや大学の化学専門の教授や学者を交えた研究が進んでいて、シャンプー時の作用も実証されて始めています。

まず、シリコン配合シャンプーとノンシリコンシャンプーで洗った髪をパーマやカラーリングの施術しても、ほとんど影響に違いがありません。パーマのウエーブ効率やカラーリングの染毛状態に影響はないのです。

次に、頭皮に付着するとよく言われますが、お湯ですすげば皮膚についたシリコーンは取り除かれることが分かっています。
付着しないのですから、毛穴に詰まることはありません。よって、育毛を阻害するようなことは考えられません。

そして、シリコーンはかなり毒性が少ない物質です。
生理活性が低いためヒトを含む生体への毒性が小さいとされています。
ただ、アレルギー体質の人は、シャンプーや化粧品など、あらゆるものに気をつけたほうがいいでしょう。
シャンプーやトリートメントにシリコーンが配合されているように、
多くの化粧品にはあらゆる化学成分や同植物由来の成分が含まれているのですから。
(※「あきらめないで!」な石鹸に含まれていた小麦タンパク質の一種で、全国的なアレルギー患者を起こした事件は記憶に新しいです。)

シリコン入りシャンプーとノンシリコンシャンプーの違いと「危険性の研究結果」無いから安全とは限らない話 | CUTPLAZA DIARYシリコン入りシャンプーとノンシリコンシャンプーの違いと「危険性の研究結果」無いから安全とは限らない話 | CUTPLAZA DIARY
「茶のしずく石鹸」アレルギー発生報告1786件 重症例が226件 | CUTPLAZA DIARY「茶のしずく石鹸」アレルギー発生報告1786件 重症例が226件 | CUTPLAZA DIARY

どうでもいいのですが、ノンシリコンシャンプーのトリートメントにはシリコーンが配合されているそうですが、それはいいのかしら。

先に申し上げたノンシリコンシャンプーが悪いとか、シリコーンが悪くないとかそういうことではなく、
髪の毛の状況に合わせてシャンプーやトリートメントなどをしましょう。
髪が本当に傷んでいたら、タンパク質の補給やキューティクルをオイルやコーティング剤で守るとかが必要ですし、トリートメントも付けたら少し時間を置くとか、ドライヤーの熱を当てすぎないといった個々の髪質にあったケアが必要なんですね。

手触りに関しては、シリコーンは濡れた髪の状態では重たい感じになりますが、乾くとサラサラで手触りが良くなる点で、他のトリートメントではかなわないような利点があります。(※髪の内部は治っていませんが)

さて、シリコーンは単体では髪に付着しにくいそうです。
油の一種と考えれば、一見くっついているような状態になっても、単体では洗い流すと取れてしまいます。
ここ最近、美容室界隈で「ポリイオンコンプレックス」とか「イオンコンプレックス」と呼ばれている現象によって、シャンプーに含まれるシリコーンやオイルなどが髪の毛に付着しているそうです。

シャンプーの多くは「アニオン界面活性剤」とともに「カチオン化セルロース」が含まれています。
シリコン配合シャンプーに「カチオン化セルロース」はもちろん、ノンシリコンシャンプーにも「カチオン化セルロース」は含まれていることが多いそうです。
シャンプーには「カチオン化セルロース」とは書かれておらず、化粧品原料の名前で「ポリクオタニウム-10」と書かれています。

ノンシリコンシャンプーにも「ポリクオタニウム-10」配合

ローズ&ハーブシャンプー ノンシリコンタイプ 600ml
ローズ&ハーブシャンプー ノンシリコンタイプ 600ml

全成分 : 水、ラウレス硫酸ナトリウム、コカミドDEA、塩化ナトリウムコカミドプロピルベタイン、グルセリン、PG、ポリクオタニウム‐10、バラエキス、セージエキス、カミツレエキス、タイムエキス、ローズマリーエキス、センブエキス、BG、クエン酸、変性アルコール、EDTA‐4ナトリウム、安息香酸ナトリウム、香料

これまではカチオン化セルロースの+の電荷が髪の毛の-の電荷にくっつくと言われていましたが、
最近分かってきたのは、シャンプー原液の状態でカチオン化セルロースの周りにアニオン界面活性剤が集まり、「ミセル」という会合体になっています。
その-の電荷の中で乳化されたシリコーンやオイルが存在しています。
これが水で希釈されるとカチオン化セルロースの+とアニオン界面活性剤の-が表面化、して他のミセルの-と引き合って「コンプレックス」を作り、その際に+-の電荷が減って水から飛び出したものが疎水性相互作用で髪の毛に付着し、皮膜を形成します。

何を言ってるのかよくわからなくなってくるような話ですがw
このようなイオンコンプレックスが起きないと、シリコーンやオイルなどが髪の毛に付着することはないということです。

最後に、「シリコン」と「シリコーン」は違います。
「シリコン」はSilicon
「シリコーン」はSilicone
シリコーンは金属ケイ素(Si)と塩化メチルなどを化学合成してできたものです。

ケイ石(SiO2)→[電気分解]→金属ケイ素(Si)シリコーン(Silicone)→[塩化メチルで反応・蒸留]→クロロシラン→[加水分解・重合]→各種シリコーン(Silicone)

ノンシリコンシャンプーは安物成分でぼったくり?シリコン悪玉論、無添加礼賛のウソ(1/2) | ビジネスジャーナルノンシリコンシャンプーは安物成分でぼったくり?シリコン悪玉論、無添加礼賛のウソ(1/2) | ビジネスジャーナル

Related Posts Plugin for WordPress, Blogger...