世田谷住宅床下から「ラジウム」原発とは無関係。今後、別の場所へ保管予定

東京都世田谷区弦巻5丁目の歩道の一部から高い放射線量が測定された問題で、この放射線は隣接する住宅の床下の箱の中にあった瓶に入っていた放射性物質「ラジウム」が原因であり、福島の原発とは無関係と判明しました。問題の瓶は文科省が昨日のうちに鉛の容器に密閉したところ、周辺の放射線量は0.1~0.3マイクロシーベルトまで下がったとのことです。
問題の歩道では高い放射線が検知されていたのですが、放射性物質の入ったガラス瓶が見つかった住宅の板塀の所だけ放射線が高く、アスファルトは値が高くない状態だったとのことで、昨日は通学路になっていた問題の場所を避けるよう迂回して通学する対策がとられたそうです。今後住宅から別の場所に移して保管する事になっています。

世田谷住宅床下から「ラジウム」原発とは無関係。今後、別の場所へ保管予定

世田谷の高放射線量、原発事故と無関係。住宅床下の瓶の中身は「ラジウム」とみられる。 | CUTPLAZA BLOG
東京・世田谷区の高放射線量、隣接する住宅の床下の箱の中にあった瓶が原因 | CUTPLAZA BLOG

東京電力福島第一原発の事故の影響で、日本の各地でホットスポットと呼ばれる放射線の高い数値が計測される場所が検知されるケースが増えています。
今回の放射性物質の発見は、ホットスポットが無いか調べていた経緯で判明したのですが、こういう原発とは関係ない形で放射線が検出されるケースもあるのだということですね。
マスコミはこぞってこの謎のホットスポットが原発由来のものではないかと報道していたところもあったようで、某フジテレビのニュース番組司会者小倉智昭さんは「世田谷のド真中で出たということは、ここ1か所だけとは考えられませんね」と発言するも出演していた首都東京大学の福士政広教授に「そういうことも考えられますが、普通、その場合は周りの地面も高い数値になるので、ここのケースはレアケースと考えています」と否定されていたようです。
また、住民の方はこの瓶について知らなかったと話しているようですか、ネットでは「東電の仕業」などと根も葉も無い噂が出ていたりもするようです。

ラジウムというのはキュリー夫人の伝記を読んだ時くらいにしか目にしたことがなかったのですが、ラドン温泉(ラジウム温泉)はラジウムが壊れて発生したラドンを含む温泉で治療を目的としているようですし、昔は塗料などでもラジウムは利用されていたことがあるようです。
ただ、現在では放射線が問題となるために取り扱いや処分方法が法律で決まっているようです。
今回の瓶入りラジウムは、そうした時代に取り残され処分されずにそこにあったものである可能性が高いということです。

ところで、震災以降トンデモ発言を繰り返している中部大学の武田邦彦教授はブログで今回の事件を槍玉に上げ、「原子炉からの放射線で被曝する」「今までなさそうなところを測っていた」と行政の対応を批判し、福島県産の食物に関しても「関東、福島の野菜を食べさせるために、汚染されていない各地の野菜を出荷しないように圧力がかかっている」と発言していました。ところが、これが原発のものではないと分かると、内容を注釈もなく修正・改竄しています。
武田邦彦 (中部大学): 世田谷の高線量率と福島の新米(緊急)武田邦彦 (中部大学): 世田谷の高線量率と福島の新米(緊急)
(cache) 武田邦彦 (中部大学): 世田谷の高線量率と福島の新米(緊急)(cache) 武田邦彦 (中部大学): 世田谷の高線量率と福島の新米(緊急)
口幅ったいですが、無責任な発言のなさり方は謹んでいただきたいと思います。

ホットスポットを見つけ安全かつ適切に除染から処分が素早くなされることが望ましいのですが、市民・民間・行政らが連携して、これらの問題に当たっていただけるようお願いしたいものです。
また、一部の不安を煽るだけの声や間違った情報にとらわれること無く、住民の方々は冷静な対応をするよう心がけましょう。

ただ、原発関連では多くの場合、雨や埃や泥に放射性物質が集まった所がホットスポットになるのがほとんどでしょうから、そうした汚染された場所の特定と適切な掃除などでの除染、並びに処分までの安全な保管などを行っていくことが必要ですね。

世田谷区の”ラジウム”、文科省が撤去

asahi.com(朝日新聞社):世田谷の放射性物質、夜光塗料か 文科省が運び出し – 社会asahi.com(朝日新聞社):世田谷の放射性物質、夜光塗料か 文科省が運び出し - 社会

 東京都世田谷区の民家で見つかった放射性物質「ラジウム226」について、文部科学省は14日午後に運び出した。今後、廃棄物業者の施設で保管する。ラジウム226は、医療用や夜光塗料などに使われていたと考えられ、原発事故で放出されたセシウムも検出されず、事故によるものではないと断定した。

 文科省によると、瓶は民家の床下の箱の中に入っており、時計の文字盤などの夜光塗料として使われていたものの可能性が高い。13日に放射線を遮る鉛の容器に入れ、民家の敷地内で保管していた。

 瓶の近くの放射線量は、毎時600マイクロシーベルトで、1メートル離れた場所では毎時20マイクロシーベルト。隣家の放射線量は通常時の範囲内だった。歩道で高い線量が検出されたが、文科省は「往来だけなら、年間の被曝(ひばく)量は1ミリシーベルト以下と考えられ、心配する状況にはない」としている。

asahi.com(朝日新聞社):瓶にラジウムか 世田谷区「高放射線、原発と無関係」 – 社会asahi.com(朝日新聞社):瓶にラジウムか 世田谷区「高放射線、原発と無関係」 - 社会

 東京都世田谷区弦巻5丁目の歩道の一部から高い放射線量が測定された問題で、保坂展人区長は13日夜、隣接する民家の床下にあった瓶から放射線が出ているとみられる、と発表した。文部科学省は14日未明、瓶は数十本あり、中に放射性物質のラジウム226とみられる粉が入っていたことを明らかにした。

 東京電力福島第一原発の事故の影響で、各地では局所的に放射線量の高い「ホットスポット」の存在が明らかになっているが、区は、今回は原発事故とは関係がないとみている。

 瓶からは毎時30マイクロシーベルト超の放射線が出ている可能性があった。歩道では13日午前、高さ1メートルの地点で毎時3.35マイクロシーベルトを検出していたが、文科省は瓶に入った物質のうち放射線量の高いものを鉛の容器に入れて金属の缶に封入。これにより、歩道の放射線量は毎時0.1~0.35マイクロシーベルトまで下げられたという。

高放射線量 原発事故と無関係 NHKニュース高放射線量 原発事故と無関係 NHKニュース

東京・世田谷区の住宅で床下にあった瓶から高い放射線量が検出された問題で、文部科学省が調査した結果、ビンの中の物質は、がんの治療や蛍光塗料などとして使われる放射性物質のラジウムの可能性が高く、高い放射線量と原発事故とは無関係なことが分かりました。この放射性物質は国への届け出がなかったということで、文部科学省が詳しいいきさつを調べています。
この問題は東京・世田谷区弦巻の区道の一部で高い放射線量が検出され、区が隣接する住宅の中を調べたところ、床下にあった箱の中の瓶から高い放射線量が検出されたものです。文部科学省が、検査官を現場に派遣して調査した結果、箱の中には試験管のような瓶が数十本あり、粉状のものが入っていたということで、ビンの表面で1時間当たり600マイクロシーベルトの高い放射線量が検出されました。このため、これらの放射性物質を放射線を遮る鉛の容器に入れるなどして、住宅の敷地境界から離れた場所に置いたところ、敷地境界で最大1時間当たり3マイクロシーベルト余りあった放射線量は、10分の1以下の1時間当たり0.1マイクロシーベルトから0.3マイクロシーベルトまで下がったということです。また、放射線のエネルギーの分析から、これらの放射性物質は放射性セシウムではなく、がんの治療や蛍光塗料などに使われるラジウム226の可能性が高く、高い放射線量と原発事故とは無関係なことが分かりました。この放射性物質は国への届け出がないということで、文部科学省は関係者から事情を聞くなどして床下にあった詳しいいきさつを調べるとともに、14日、専門の機関に委託して住宅から持ち出し、安全が確保された別の場所で保管することにしています。

ラジウムは、ウランが崩壊してできる放射性物質で、天然の状態では、溶岩が固まってできた玄武岩や花こう岩などに含まれています。半減期の長さが異なる4つの種類があり、今回見つかったものは、このうち半減期がおよそ1600年と最も長い、ラジウム226と推定されています。ラジウムはエネルギーの強いアルファ線のほか、放射性セシウムなどと同じガンマ線を出します。このため、以前はこのガンマ線を利用してがんの治療に用いられていたほか、時計の文字盤を光らせる夜光塗料の材料などとして使われていました。文部科学省によりますと、がんの治療や蛍光塗料などに使われるラジウム226は、医療用であれば、針のような形だったり、蛍光塗料であれば、時計の文字盤だったり、製品化された状態で保管するのが一般的で、通常、粉末の形では保管しないということです。ただ、古くは粉末で保管し、筆で塗って蛍光塗料として使っていたことがあるということです。

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