消費者庁、「茶のしずく石鹸」アレルギー反応の通報を放置

消費者庁は去年1月から再三、旧「茶のしずく石鹸」使用者にアレルギー反応及びアレルギー発症の報告を受けていたにもかかわらず、これを放置し続けていたことが分かったと読売新聞が報じています。
この消費者庁の「茶のしずく石鹸」の健康被害への対応を怠っていた問題は先月にも複数のメディアが取り上げ報じています。

特殊な条件下でのアレルギー反応及び発症ですが、報告から把握があった初期の段階で注意喚起などの対応が遅れたことは今までも指摘されていましたが、消費者庁および消費者安全法などが機能していない実態もあったようです。

「茶のしずく石鹸」使用者が急性アレルギーで呼吸困難や意識不明など国民生活センターに約650件の相談 | CUTPLAZA DIARY
「茶のしずく石鹸」アレルギー重症例相次ぎ集団訴訟の動き | CUTPLAZA DIARY
急性アレルギー被害出た「茶のしずく石鹸」で女性提訴、全国に弁護団設立も | CUTPLAZA DIARY
「茶のしずく石鹸」アレルギー症状471人、うち66人重篤な症状 | CUTPLAZA DIARY

消費者庁、通報を放置…茶のしずく健康被害 : 社会 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)消費者庁、通報を放置…茶のしずく健康被害 : 社会 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

 福岡県大野城市の化粧品製造販売会社「悠香」が通信販売した「茶のしずく石鹸」の旧製品による小麦アレルギー発症問題で、消費者庁が昨年1月に国民生活センターから寄せられた健康被害報告など、外部からの情報を再三、放置していたことがわかった。

 悠香の製品をめぐる問題が表面化したのは今年5月以降で、同庁の対応の遅れが被害拡大につながった可能性も出てきた。

 消費者庁によると、同センターから昨年1月、「茶のしずく石鹸の利用者6人がアレルギーになったと医師から情報提供があった」と電話で連絡が入った。商品名を明らかにしたうえでの報告で、消費者安全法に基づく通知とすべきかどうかを相談するものだった。

 同法は国の組織などに対し、重大な事故などの情報を同庁に通知するよう求めている。同庁は消費者の安全確保のために情報を有効活用し、迅速かつ的確に集約・分析して、結果を公表する義務を負っている。しかし、同庁は同センターに通知を出すよう指示しなかったうえ、特に何の対応も取らなかった。

「茶のしずく石鹸」を巡る経過
2010/1 国民生活センターから消費者庁に「『茶のしずく石鹸』の利用者6人にアレルギー反応」の報告
2010/10/15 厚生労働省から消費者庁に「加水分解コムギを含む石鹸でアレルギー発症」の情報
2011/2 世田谷区から消費者庁に「『茶のしずく石鹸』でアレルギー反応の相談があった」と報告
2011/5/20 悠香が健康被害を公表し自主回収を開始
2011/5/26 山口県が消費者庁に消費者安全法に基づく通知
2011/6/7 消費者庁が注意喚起情報を出す

消費者庁の動きの遅さが指摘されていますが、厚労省についても昨年9月に医療機関から被害を把握し通報したにしても、一度で対応がされてないなら、投げっぱなしにすべきではなかったでしょう。
また、消費者庁自体もなぜそこまで対応が遅れたのかということで責任は大いにあるでしょう。
窒息事故の多い餅よりも害の少ないこんにゃくゼリーの蒟蒻畑にリソース割きすぎと言われても仕方ありませんね。

マンナンライフ、消費者庁の安全基準沿った小さく軟らかいこんにゃくゼリー発売 | CUTPLAZA DIARYマンナンライフ、消費者庁の安全基準沿った小さく軟らかいこんにゃくゼリー発売 | CUTPLAZA DIARY

今件は茶のしずく石鹸の販売元だけで事が収まらない可能性があるような気がしますね。

せっけん被害 企業、行政の対応が遅い(11月26日)-北海道新聞[社説]】2011年11月25日

 国の対応も理解し難い。厚労省は昨年9月に医療機関から被害を把握し、担当の消費者庁に連絡した。しかし、同庁が注意を喚起したのは、今年6月になってからだ。

 同庁は「厚労省から具体的な製品名や会社名を聞かなかったため」としている。消費者の安全を優先すべき官庁としては弁解にもならない。

 厚労省に詳細を聞き出すなど、もっと早く対処していたら、被害の拡大を食い止められた可能性がある。厚労省も問題を把握した時点でもっと具体的な情報を出すべきだった。

茶のしずく石鹸 もっと早く警鐘鳴らせた / 西日本新聞茶のしずく石鹸 もっと早く警鐘鳴らせた / 西日本新聞?2011年11月25日

 厚労省が都道府県に加水分解小麦を含む医薬部外品(薬用せっけん)と化粧品(せっけん)についての注意を促したのは昨年10月だった。同時に消費者庁にも連絡したが、商品名など詳しい情報がなく、消費者庁は動かなかったという。

 厚労省には医薬品医療機器総合機構から情報が入った。医師や病院は同機構に薬などの副作用を報告する義務がある。

 販売する悠香も昨秋以降、顧客に注意を促し、昨年12月に加水分解小麦を含まない製品に切り替えたりしたという。

 だが、同社が自主回収を始めたのは今年5月で、しかも旧茶のしずく石鹸は最も重いクラス1(重篤な健康被害や死亡の原因となり得る状況)に分類された。消費者庁の注意喚起は翌6月だった。

 この間の空白は何か。情報は伝達されたが、形式的だ。国、自治体、専門家、業者はなぜ、もっと積極的に動いて、早く警鐘を鳴らさなかったのか。

信濃毎日新聞[信毎web] 「茶のしずく」 消費者庁の対応が遅い】2011年11月26日

 残念なのは、消費者庁の情報の公表が遅れたことだ。昨年秋の段階で、厚生労働省から被害報告を受けていたのに、注意を呼びかけたのは今年6月だった。

 なぜ対応が遅れたのか。検証し改善につなげてもらいたい。

 日本アレルギー学会の特別委員会が先ごろ、見解を示している。旧製品に含まれる小麦由来成分「グルパール19S」が、アレルギーの原因とみられる。

 皮膚から吸収されたグルパール19Sが体内で異物と認識され、アレルギーの原因となる抗体がつくられる。このため小麦を食べると症状が出ると考えられるという。

 発症のメカニズムについては、さらに詳しい解明が待たれる。再発防止に生かしたい。

 消費者安全法は、省庁や自治体に対し、消費者事故が起きた場合、消費者庁へ通知するよう義務づけている。今回、厚労省の報告のあり方には課題が残る。

 厚労省は昨年10月、旧製品を使った30代の女性がパンを食べた後、アレルギー症状が出て入院したと消費者庁に報告。ただし、事故の日時や商品名などの詳しい情報は伝えなかった。

 厚労省はこのとき、小麦成分を含む医薬部外品などへの注意喚起の通知を出している。一方、消費者庁は動かなかった。省庁間の連携に欠ける。

 消費者庁は、あまりに腰が重い。旧製品の自主回収が始まったのは今年5月。注意喚起はそれから半月以上も後だ。

 消費者庁が創設されて2年になる。「消費者行政の司令塔」とされ、全国から事故情報が集まる。緊張感とスピード感のある対応が欠かせない。判断の遅れは、被害を広げることになる。そう胸に刻んでほしい。

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