昨年、スーパーコンピュータの性能ランキングで世界第1位を獲得したスーパーコンピューター「京」を使って東京大学先端科学技術研究センターが創薬を行うと発表しました。
世界最速の計算速度を活かして抗がん剤の新薬の開発を進めるとしています。
今まで新薬の開発には試験管での実験が必要で時間がかかりましたが、スパコンを利用することでタンパク質と候補物質の結合を計算で模擬実験したり、分子や原子レベルで物質の構造を設計出来るとのことです。
やっぱり2位じゃダメなんです。
【京 (スーパーコンピュータ) – Wikipedia】
【理化学研究所 次世代スーパーコンピュータの開発・整備】
【スーパーコンピュータの性能ランキングで「京」が2期連続世界第1位を獲得】
【スパコン「京」で新薬設計、東大機関が着手 : 科学 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)】
東京大学先端科学技術研究センターは16日、スーパーコンピューター「京」を活用して創薬を行うと発表した。
世界最高を誇る計算速度を生かし、新薬の候補になる物質の探索期間を大幅に短縮する。
京は9月に供用が始まる予定で、来年3月にも第1号として、抗がん剤の設計を完了させる計画だ。
京を開発した富士通などとの共同研究。候補になる物質を詳しく解析し、新薬を設計するプログラムを京に導入する。候補物質やそれが作用する生体内のたんぱく質、水分など数万から100万個の原子の動きを同時に計算し、最適な薬を設計する。
当面、プログラムを、京とほぼ同じ性能のスパコンで改良し、供用開始と同時に導入できるようにする。すでに製薬会社3社との共同開発が始まっているほか、さらに別の3社との連携も検討している。
(2012年2月17日11時06分 読売新聞)
【スパコン「京」で抗がん剤開発 初の商業利用 :日本経済新聞】
中外製薬、興和、富士フイルムはそれぞれ、富士通や東京大学と組み、9月から世界最速のスーパーコンピューター「京」を使った抗がん剤の開発に着手する。分子構造などをもとに、計算によって多数の化学物質から有力候補を探し出す。探索期間を従来の10分の1の半年~1年に短縮でき、開発コストを減らせる。企業が京を商業利用する初のケースとなる。
スウェーデンのストックホルム大学とも連携して3月にソフトウエアの開発などに着手。9月から京の使用を開始する。3社は別々に、胃がんや大腸がんを狙い撃ちする新タイプの抗がん剤の候補物質を探索。来年3月までに有力候補を見つけ製品化を目指す計画だ。
従来、抗がん剤の有力候補を選ぶにはがん細胞などへの作用を試験管内で確かめており、手間と時間がかかっていた。スパコンを使う方法は、がん細胞だけが出す特殊なたんぱく質と候補物質の結合を計算で模擬実験し、結びつきやすい物質を探す。原子・分子レベルで物質の構造を設計するのにも役立てる。
計算量が膨大なため従来のスパコンは能力不足だったが、1秒あたり1京(京は1兆の1万倍)回超の計算性能を持つ京なら実用的という。臨床試験を含めても、新薬の開発期間を5年程度に抑えられる可能性がある。
京は理化学研究所と富士通が開発、9月に本格稼働する予定だ。製薬のほか電子部品の開発や車体の設計など幅広い産業用途が見込まれている。