あらゆる細胞に変化できるiPS細胞から人の肝臓を作ることに横浜市立大学などのグループが成功しました。
これまでもiPS細胞から幹細胞を作る技術はありましたが、肝臓の働きが再現された複雑な立体構造の臓器は再現することが出来ていませんでした。
幹細胞に変わる前の前駆細胞と血管に変わる血管内皮細胞と、細胞同士を繋ぐ間葉系細胞を加えて培養した肝臓の元をマウスの頭部に移植したところ、直径5ミリの肝臓に成長したとのことです。
生体肝移植は日本でも行われることがあるようですが、拒絶反応により移植部位の機能が低下してしまうこともあるそうですし、自身の細胞から臓器を作ることが出来れば、そうした問題もクリアできる時代が来るのかもしれませんね。
【iPS細胞から肝臓作製…人の臓器で初 : 科学 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)】
あらゆる細胞に変化できるiPS細胞(新型万能細胞)を使って、マウスの体内で人間の肝臓を作ることに、横浜市立大学などのグループが成功した。
大きさは5ミリ・メートル程度だが、人の肝臓と同じ働きが確認された。iPS細胞から人の臓器ができたのは初めて。衰えた体の機能を細胞から作った人工臓器で補う再生医療や、医薬品開発の進展につながる成果だ。横浜市で開かれる日本再生医療学会で、14日に発表する。
人のiPS細胞から肝細胞を作る技術はこれまでにもあったが、複雑な立体構造を持つ臓器にすることが難しく、肝臓の働きは再現できなかった。
同大の谷口英樹教授と武部貴則助手らは、人のiPS細胞を、肝細胞に変わる一歩手前の前駆(ぜんく)細胞に変化させた。これに、血管を作り出す血管内皮細胞と、細胞同士をつなぐ働きなどをもつ間葉系(かんようけい)細胞を加えて数日間培養。こうして人の細胞だけで作った肝臓の元をマウスの頭部に移植したところ、直径約5ミリ・メートルの肝臓に成長した。