王子製紙が中国江蘇省の南通市に置いている工場の排水計画を巡り、排出口が設置される予定の南通市啓東で28日早朝にデモが起こり、一部暴徒化しました。
デモ隊は日本の沖縄県尖閣諸島について言及し、日本への反感を口にする参加者もおり、計画を推進する地元政府トップを「売国奴」と批判しました。
その後、デモ隊の一部が暴徒化。地元政府庁舎前の広場を占拠し、公安車両や公用車をひっくり返し、約百人が庁舎入り口の扉のガラスを割って侵入し窓から書類を投げるなどしました。
警察側は制圧行動に出ず、デモを事実上容認しているとみられましたが、暴徒化してからは武装警官を投入し参加者らを暴行しながら鎮圧を図り、取材していた朝日新聞社の記者は警官に暴行をうけ、カメラと記者証を没収されました。
問題となっているのは長江(揚子江)下流に位置する南通市中心部の王子製紙の工場から、さらに海岸に近い100キロ離れたた啓東地区に排水するためのパイプ施設の建設計画を南通市が打ち出したことで住民らが反発し数千人が参加するデモに発展しました。
さて、南通市の張国華市長はテレビ放送を通じて「計画を永久に取り消す」と表明しデモは収束したといいますが、環境基準を満たすよう廃水は処理されるにもかかわらず、啓東地区の住民に「海産物に害が出る」とうわさが広がりました。
デマによるデモおよび暴徒化ですが、中国では昨今、工場建設などがデモで中止に追い込まれる例が相次いでおり、外国企業に寄る投資に影響が出る可能性があります。
インドでもインドのスズキの子会社の従業員が暴徒化した問題が起きており、現在も工場の再開の見通しが立っていません。こちらでは差別的発言が発端とされていますが、インドならではのカースト制度の名残も少なからずあるのでしょう。
海外で日本の企業が工場を作るのは当たり前のようになっていますが、こうした国ごとの問題にも対応しなければいけないというリスクも存在します。
最近の中国は日本の領土に関して反発を示す体制を強めており、中国の住民の間にも再び反日の感情を持つ者が増えているのでしょうか。
また、国や役人へのフラストレーションを高める中国の住民もいて、デモがいわばガス抜きとして機能している面もあるのでしょう。ただ、今回のようなことが続く中国では、先も出たように、外国の企業が投資するのを避ける可能性が出てもおかしくないでしょう。
【大纪元 – 江苏启东十万人抗议污染 占领市政府 扒光书记】
【江苏启东万人冲进市政府抄家 扒光市委书记 特多图-【启东,污染,市政府】】
【江蘇數千民眾示威反排污計劃】
【中国、日系工場の排水計画でデモ 5千人超参加、一部暴徒化 – 47NEWS(よんななニュース)】
中国江蘇省南通市啓東で28日、日本の王子製紙の工場から出る廃水を海に流す排水管新設計画の中止を求め、5千人以上が参加する大規模なデモが発生、千人以上が地元政府庁舎の敷地内に突入し暴徒化した。少なくとも車両10台を破壊、100人以上が庁舎内にも乱入し、書類を窓の外に放り投げたり、入り口のガラスを割ったりした。
デモ隊は、計画を推進する地元政府トップを「売国奴」と批判。日中が対立を深める沖縄県・尖閣諸島(中国名・釣魚島)の問題に言及し、日本への反感を口にするデモ参加者もいた。警察側は制圧行動に出ず、デモを事実上容認。
【王子製紙の排水計画に抗議デモ 中国で数千人集結 – MSN産経ニュース】
王子製紙が中国江蘇省の南通市に置いている工場の排水計画をめぐり、環境汚染や健康被害の懸念があると主張する地元住民らが28日、排水管の建設中止などを求める抗議デモを始めた。数千人が参加しており、一部は地元政府庁舎に乱入するなど騒ぎが広がっている。
問題となっているのは長江(揚子江)下流に位置する南通市中心部の王子製紙の工場から、さらに海岸に近い約100キロ離れた啓東地区に排水するためのパイプ施設。南通市が建設計画を打ち出したが住民らは強く反発。中国語版ツイッター「微博」やネットで、28日から30日まで3日間デモを行うと宣言していた。
啓東の当局は26日、建設中断を発表、27日にはデモに参加しないよう、住民側にさまざまな圧力をかけてきた。しかしデモ参加者らは、「建設の中断ではなく取り消しを求める」と態度を硬化させた。また、「微博」などでは、今回のデモを沖縄県の尖閣諸島(中国名・釣魚島)をめぐる中国の不満に重ね合わせ、「反日デモ」とみなしてネット上で批判をエスカレートさせる発言も増え始めた。
【中国:王子製紙巡りデモ 排水計画撤回、収束 江蘇省南通- 毎日jp(毎日新聞)】
国営新華社通信によると、デモは排出口が設置される予定の南通市啓東で28日早朝に始まった。地元政府は26日に計画の中断を発表していたが、デモ参加者は計画の白紙撤回を要求。共同通信によると、1000人以上が地元政府庁舎の敷地内に乱入して少なくとも車両10台を破壊したほか、庁舎内にあった書類などを窓から外に放り投げた。
南通市の張国華市長は28日午前11時(日本時間正午)にテレビ放送を通じて「計画を永久に取り消す」と表明した。これを受け、デモはほぼ収束した。
王子製紙の工場は、南通市中心部に近い開発区で昨年1月から操業を始めた。現在は浄水処理したうえで長江に放流しているが、工場を誘致した南通市政府が進出時の取り決めにより、約100キロ離れた啓東の海岸までつなぐ排水管を建設する計画を進めていた。これに対し、啓東の住民らが海が汚染されるとして反対してきた。
【中国警官、朝日支局長に暴行・カメラ没収 : 国際 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)】
江蘇省南通市の沿海部で28日、王子製紙の排水処理計画に反対するデモを取材していた朝日新聞上海支局長の奥寺淳記者(41)が警察官に暴行を受け、カメラと記者証を没収された。
奥寺記者は、警官がデモ参加者を暴行する様子を撮影中、警官15~20人に囲まれ、蹴られるなどしたという。大きなけがはなかったが、後頭部や腕などに痛みが残った。
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渡辺勉・朝日新聞国際報道部長の話「正当な取材活動に対して加えられた極めて悪質な妨害であり、看過できません。中国政府に抗議し、謝罪と、カメラと記者証の返還を求めています」
【東京新聞:王子製紙の排水計画 中国で1万人抗議デモ:国際(TOKYO Web)】
デモを行ったのは黄海沿岸部にある啓東地区の住民。午前六時すぎから、「王子の汚染に抵抗を」と書かれたプラカードを手に目抜き通りを行進した後、地元政府庁舎前の広場を占拠。公安車両や公用車を横転させ、約百人が庁舎入り口の扉のガラスを割って侵入し、窓から書類をばらまくなどした。
地元政府が昼すぎ、排水管工事計画の撤回を発表したが、デモが続いたため当局側は警官隊に加えて武装警察を投入。市民に暴行を加えながら鎮圧を図った。デモを取材していた朝日新聞の記者も、公安当局から頭を蹴られるなどの暴行を受けた上、カメラと記者証を取り上げられた。
日本企業が絡む抗議行動だったため、参加者の一部は反日的な文言を口々に叫んだ。記者を日本メディアと知り、取り囲んで「日本人か。出て行け」とすごむ参加者もいた。
住民が問題視したのは経済開発区から啓東地区に面した黄海に向け、南通市が建設中の長さ約百キロの排水管。完成後、王子製紙工場から一日十五万トンが排水される予定だった。環境基準を満たすよう廃水処理されるが、啓東地区の住民に「海産物に害が出る」とうわさが広がった。
王子製紙の現地工場は一部が稼働しており将来的に年間約百二十万トンの生産能力を持つ予定。だが、計画撤回を受け、現地法人の幹部は「社全体の事業計画に影響が及びかねない」と話している。
中国では環境意識の急速な高まりを受け、工場建設などがデモで中止に追い込まれる例が相次いでおり外国企業による投資にも影響が出る可能性がある。
インド・スズキの従業員暴徒化
【インドの工場 再開の見通し立たず NHKニュース】
自動車メーカー「スズキ」のインドの子会社「マルチ・スズキ」の工場で、従業員が暴徒化して1人が死亡した事件で、マルチ・スズキは、従業員の安全を確保できないため、操業再開の見通しを示せないという声明を発表しました。
インド北部ハリヤナ州にあるマルチ・スズキのマネサール工場では今月18日、従業員と上司の間で起きたトラブルをきっかけに一部の従業員が暴徒化し、インド人社員1人が死亡し、日本人社員2人もけがをしました。
マルチ・スズキは事件以降、マネサール工場の操業を停止しています。
マルチ・スズキは27日、声明を出し、「工場を巡る治安状況を考えると、いつ操業を再開できるか、見通しを示すことは難しい」として、従業員の安全を確保できないため引き続き操業を停止せざるを得ないと説明しています。
今回の事件では、従業員が暴徒化するまでの詳しいいきさつは明らかになっていません。
会社側では何者かが事前に事件を計画した可能性があり、再び同じような事件が起きるおそれもあるとして地元の警察当局に徹底した捜査を求めています。
【インド・スズキ会長「操業再開は犯人逮捕後」 : 経済ニュース : マネー・経済 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)】
自動車大手スズキのインド子会社「マルチ・スズキ」のバルガバ会長(77)は28日、ニューデリー郊外の自宅で読売新聞と会見した。
会長は、同国北部ハリヤナ州の同社マネサール工場が18日に起きた従業員の暴動を受けて操業を停止したことに関し、「警察が暴動に加担した犯人を逮捕し、騒ぎの原因が判明するまで安心できない」と述べ、操業再開は警察の捜査終了後になるとの見通しを明らかにした。
暴動ではインド人幹部社員1人が死亡、日本人2人を含む幹部ら約100人が負傷。地元警察は従業員100人を逮捕したが、暴動で中心的役割を果たした従業員を中心に40人以上が現在も逃亡するなど捜査は難航しており、操業停止の長期化は必至だ。