滋賀県大津市で当時中学2年の男子生徒が自殺したのはいじめが原因ではないかとされる問題で、自殺した生徒の通っていた中学校では12日夜、緊急説明会が開かれ、およそ700人の保護者たちが参加しました。
途中退席した保護者らは「これからどうするのかとか。堂々巡りで的を射ていない」「われわれの心に響く返事はもらえなかった」といった批判の声を伝えました。
また、別の保護者は、「質疑応答に入りますとなった時に、一番前のお父さんが手を挙げて、『1人の方が亡くなっているのに、黙とうがなんでないんや』って言って、拍手が起こった。(学校側の)誰が言ったかわからないけど、『黙とう』って。(保護者からは)『立ってやろ!』と(声があがった)」と説明会の状況を語っていました。
そうした保護者らの不満の声が出てくる中、大津市教育委員会の沢村憲次教育長は保護者説明会に出席後、取材に応じ、「全体を通してわたしが感じたのは、自分の行っている中学校に、誇りの持てる教育を期待すると。そのために、先生に頑張ってほしい。要約すると、こういうことかな」と意味不明の発言をしています。
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ただ、保護者らの要望を受けて市教委は13日、学校が全校生徒に実施したいじめに関するアンケート結果を、希望する保護者に配布しました。
これまで市教委は、自殺した生徒の父親が以前から求めていた、いじめアンケートの公表に応じていませんでしたが、ようやく公表に至ったということになります。
ただし、。市教委が追加アンケートを初めて明らかにした10日の記者会見も、父親には事前に知らせておらず、父親は11日に市教委から連絡を受けたが、「本来は遺族への報告が先で、物事には順序があるはずだ」と話していたという経緯もあります。
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滋賀・大津市でのいじめ自殺問題で、ほかの保護者たちからも激しい怒りや不満の声が上がっている。さらに、問題は列島各地に波及している。
12日夜、「預ける側としては、心配で預けられない」などと、学校への不信感をあらわにする保護者。
滋賀・大津市の中学校で12日夜、緊急説明会が開かれた。
集まったのは、およそ700人の保護者たち。
学校側からは、校長や教頭、学年主任など、市の教育委員会からも教育長が出席し、およそ3時間にわたって行われた。
校長は「(学校としては)最大限の取り組みをしてきたというふうに思っております」と述べた。
しかし、保護者は「(生徒たちは)事実を明らかにしなければという思いで、(アンケートを)書いたと思うんです。その思いを先生方がどこまでくみ上げて、真剣に対応したのか、全然伝わってこない」と語った。
保護者からの批判は、男子生徒が自殺した後の学校側の対応に集中した。
しかし、学校側の説明に不満があるとして、途中で退席したという保護者の姿もあった。
途中退席した保護者は「聞いていても堂々巡り。思ったような答えが返ってこない。どういうことが起きて、これからどうするのかとか。結局、堂々巡りで的を射ていない。(保護者に対して謝罪は?)謝罪されていたと思うけど、伝わらなかった、何1つ」、「空気が読めていない。学校教育はこんなもんかと、民間から見たら、そう思いますよね。もう少し、誠意を持った態度でいかないと、日本中の人は許してくれませんよと。わたしが申し上げたのは、『あなたがたは、滋賀県の恥です』と、はっきり言いました」、「いろいろ、報道とかで聞いている話と、学校側が本当に持っている真実というのを、もうちょっと突っ込んだ形で聞けるかなと思ったけど、なんか、個人情報とか、いろんなことを言われましたけどね。確実に、われわれの心に響く返事はもらえなかった。ちょっと残念な説明かだった」などと語った。
学校側の対応に対する不安と不満。
さらに、別の保護者は、「質疑応答に入りますとなった時に、一番前のお父さんが手を挙げて、『1人の方が亡くなっているのに、黙とうがなんでないんや』って言って、拍手が起こった。(学校側の)誰が言ったかわからないけど、『黙とう』って。(保護者からは)『立ってやろ!』と(声があがった)」と語った。
この説明会には、自殺した男子生徒の父親も出席した。
男子生徒の父親の様子について、説明会に出席した保護者は「黙とうの後に手を挙げて、『黙とうしていただいて、ありがとうございました』から入った。『被害者の何々です』と。『今後もご迷惑をおかけすると思いますが、何とぞよろしくお願いします』しか言わなかった」、「もう泣きそうだった。自分だったら、子が亡くなったら、そこまで、お父さんのように絶対できないと思った」などと語った。
保護者から批判が相次いだことを受け、学校側は今後、希望する保護者には、アンケート結果の閲覧を認めることを表明した。
大津市教育委員会の澤村憲次教育長は、保護者説明会に出席後、取材に応じ、「全体を通してわたしが感じたのは、自分の行っている中学校に、誇りの持てる教育を期待すると。そのために、先生に頑張ってほしい。要約すると、こういうことかな」と、保護者からの意見だとして、全体を総括した。
一方、11日夜、滋賀県警が「強制捜査でないと全て(資料が)出ないと判断した」として行った学校と教育委員会に対する異例の家宅捜索について、その現場で抗議していたことを明かした。
澤村教育長は「きのうの午前中に県警本部の生活安全部長から電話が来て、『警察が捜索することになります。捜査のご協力をお願いします』ということだったので、『わかりました』と。わたしとしては、『協力する』と言っているのに、『なんで強制捜索なんですか』と。(現場で)抗議の思いをお伝えした」と語った。
その家宅捜索の容疑となった2011年9月の体育大会での暴行について、13日、一部新聞が「女性教員がその場を目撃し、加害生徒に注意していた」などと報じたことに、教育委員会側は13日、会見で「(教師が複数の生徒に)注意をしていたことは事実です。ただし、それがその子(加害者生徒)かどうかは、確認がとれていません」とした。
さらに、澤村教育長は「いろいろとやられているところは、回っていた教員は『見かけていない』と言っている」と事実関係を否定した。
また、12日夜の保護者説明会の中で、いじめをしていたとされる3人の生徒たちについて、説明したことを明らかにした。
澤村教育長は「加害者の子どもは、いわゆる暴力を振るったり、成績カードを破ったりとか、そういう個々のことは認めているけど、それをいじめであるとは認めていない」と語った。
平野文科相は13日、大津市でのいじめをめぐる一連の動きに、閣議後の会見の冒頭で触れ、13日にも文科省の職員を現地に派遣し、第3者委員会の立ち上げなどの対応を行うと話した。
平野文科相は「特に学校に捜査が入るという事態については、大変遺憾でございます」と述べた。
大津市のケースに続き、今、全国各地でいじめ問題が浮上している。
愛知・蒲郡市でも2012年3月、中学2年の男子生徒に対し、同級生の男女9人が、「自殺に追い込む会」なるグループをつくり、悪口や自宅前で「死ね」と叫ぶなどのいじめを行っていたことが判明した。
学校は、6月末になってその実態を把握し、いじめをやめさせたという。
こうした対応に、教育評論家の尾木直樹氏は「愛知の学校の場合は、今回の大津の報道がすごくされたので、先生方のいじめに対する感度、非常にアンテナが高くなっていた。だから、すぐに救済できたと思います。(ほかにも)全国のどこかにあるかもしれないから、余計に先生も子どもたちの方をしっかり見ないといけないし、親の方も、わが子を見てないといけない」と語った。
【大津・中2自殺 いじめ救えず生徒ら自責 : ニュース : 関西発 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)】
大津市立中学2年の男子生徒(当時13歳)がいじめを苦に自殺したとされる問題で、生徒らが回答したアンケートの自由記載欄の内容がわかった。それぞれが、仲間を失った悲しみ、助けられなかった自責の念を抱き、「全力で調査してください。お願いします」などと真相究明を求めていた。しかし、市教委と学校によるいじめの調査はなおざりに。生徒らの痛々しいまでの心の叫びは、教育者たちに届かなかったのか。
アンケートは昨年10月に男子生徒が自宅マンションから飛び降りた直後、全校生徒約860人に対して行われた1回目の調査。見聞きしたいじめの有無とは別に、「学校に伝えたいこと」「男子生徒への思い」を尋ね、635人が記入した。
■内心の苦しみ
ある生徒は、苦しい胸の内をこう記した。
「どれだけつらかっただろう。どんな思いで飛び降りたのだろう。そう考えると、悲しくて苦しくて涙が出る。相談に乗ってやれたらよかったのにと悔しい気持ちでいっぱいです」
男子生徒はクラスでも部活動でも、冗談を言って周囲を和ませるムードメーカー的存在。そんな彼が抱えていた苦しみに、多くの生徒は、仲間を失って初めて直面することになった。
ほかの生徒も「あんなひどいいじめがあって周りの人が助けられなかったことが悔しい」「もっと早く気づいてあげればよかった。ほんまにごめんな、ゴメン。ゴメン。ゴメン」などと書き、いじめに気付いていた生徒は「止める勇気がなかった」「見て見ぬふりをしてしまった」と、無念さをにじませた。
そして、いじめ行為に対して、多くの生徒が激しい憤りを抱いていた。「いじめは絶対にしてはいけないと改めて感じた」「いじめていたやつらを、私は絶対に許さない」「最低の行為」などとし、「(今後)いじめられている人がいたら、自分がどうなろうと助けようと思う」と誓った生徒も。
■学校への違和感
男子生徒の自殺直後、学校はいったん、報道機関などに「いじめはなかった」と公表した。これに対し、「絶対、先生とかも気付いていたと思う。いいかげん、隠さずに話してほしい」などと多くの生徒が違和感を持っていた。
さらに、「今までにも何人かが相談している。しっかりと両耳で聞いてください」「もっと、生徒一人ひとりを見てほしい」と、教師と生徒のつながりの薄さを指摘する声も。「すべての先生への信頼をなくした。先生は態度で示せ」との厳しい意見もあった。
自分たちが目撃したいじめが、自殺の原因だったのではないか。そんな思いで、徹底的な調査を期待する声も少なくなかった。
ある生徒は「二度と同じ事が起きないよう、学校には全力をかけて調査してほしい。必死で調査してほしい」とし、別の生徒は「絶対に真実を突き止めてほしい。事実がどうであっても、学校を守るために封印するのは絶対にやめてください」とクギを刺していた。
学校側は、この1回目のアンケート結果から「いじめ」を認定したが、自殺との因果関係は不明とした。男子生徒の父親の強い要望で11月1日に2回目のアンケートを配布したものの、その回答に基づく調査はほとんど行われず、「新たな情報がない」として放置。いじめの調査は事実上、3週間程度しか行われなかった。
「自殺の練習」「葬式ごっこ」など悪質ないじめを示唆する内容が公表され、沢村憲次・市教育長が「いじめは自殺の一因」と認めたのは、男子生徒の自殺から9か月たった今月12日だった。
【大津いじめ自殺:担任ら複数の教諭が話し合い 問題把握か- 毎日jp(毎日新聞)】
大津市の市立中学2年の男子生徒が昨年10月11日に自殺した問題で、生徒が亡くなる直前、「男子生徒がいじめを受けている」との情報を受け、担任ら複数の教諭がいじめの可能性について話し合っていたことが市教委への取材で分かった。情報は、昨年9月末ごろと10月5日、担任の男性教諭らに別の生徒が少なくとも2度伝えていた。
また、市教委学校教育課は14日、取材に男子生徒が自殺した10月11日にも学校がいじめについてアンケートをする予定だったことを明らかにした。そのうえで「いじめの指摘の認識については、(教諭らで)共有していた」と認めた。これまで学校は一貫して「いじめの存在は知らなかった」としていた。
市教委などによると、同年9月末ごろ、男子生徒が同級生からトイレで殴られているのを目撃したという女子生徒が別の教諭に「(男子生徒が)いじめられている。やめさせてほしい」と訴えた。この教諭が男子生徒に確認すると、「大丈夫」と答えたという。
また10月5日、別の生徒が担任に「いじめがある」と伝えていた。学校側は男子生徒が同級生とけんかをしたとして、両方の保護者を呼んで謝罪させた。このとき担任は、男子生徒1人を残し「本当はどうなんだ」と、いじめについて聞いたところ、生徒は「きょうはちょっとイヤやった」と答えたという。
担任や2年を担当する別の教諭らはその後、男子生徒について話し合い、その際「いじめかもしれないから、人間関係に気をつけていこう」という意見も出されたという。男子生徒はこの6日後に自殺した。
学校や市教委はこれまで一貫して「担任も含めいじめについては知らなかった」と話しているが、少なくとも自殺の直前に、いじめがあった可能性を認識していた疑いがある。
県警は、生徒約300人の事情聴取も視野に、いじめの有無について全容解明を目指す方針。
2012/07/14
【校長会見、「けんかと判断した」 いじめ認識を否定 – 47NEWS(よんななニュース)】
大津市の中2男子自殺で、男子生徒が通っていた学校の校長は14日、記者会見し、男子生徒が自殺する前から学校がいじめの事実を把握していたかどうかについて「いじめの認識はなかった」「けんかと判断した」などと否定した。校長の会見は滋賀県警による11日の家宅捜索後で初めて。
一方、男子生徒の自殺後に実施した全校生徒アンケートにいじめをうかがわせる回答がありながら対応が遅れたことに、校長は「聞き取りが不十分で、大きな見落としであると感じている。子どもを見る目や対応の仕方がまずかった」と責任を認めた。
【大津・中2自殺:校長、あいまいな説明に終始- 毎日jp(毎日新聞)】
「いじめについて話し合いの場は持った」。しかし、「いじめとの認識はなかった」−−。大津市で市立中学2年の男子生徒が自殺した問題で、14日記者会見した校長は、あいまいな説明に終始した。昨年9月末と自殺6日前の10月5日に別々の生徒から指摘があったことを認めながら、「けんかと判断した」と、いじめとしての受け止めを否定。生徒や保護者は学校に対する不信の声を上げ、教育問題に詳しい専門家も、学校の対応を「教育者として失格」と批判した。
「生徒のSOSに気付かなかった。(いじめを警戒する)意識がほとんどなかった」。問題発覚後、初めて会見に臨んだ校長は、こわ張った表情で釈明した。しかし、当時の対応については「報告がなかった。詳しいことは分かりません」「資料を持っていない」とはぐらかした。答えに詰まり、隣に座る沢村憲次教育長が耳打ちする場面も見られた。
特に質問は、10月5日の生徒からの指摘後、担任らが協議した際のやりとりに集中。しかし、校長は「分からない」との姿勢を崩さなかったため報道陣が確認を要求し、会見は開始から2時間で一時中断した。1時間後に再開したが、校長は「一般論として、けんかはいじめにつながる可能性があり、注意深く見守ろうとの話になった」と答えるにとどまった。会見は3時間半に及んだ。
会見について、亡くなった男子生徒の父親(47)は毎日新聞の取材に「生徒から『いじめや』と指摘されても『いじめでない』とする感覚が全く理解できない。勇気を持って指摘した生徒も、私と同じ不信感を抱いているはず。息子の死に『責任を感じる』という(校長の)言葉も信じられない」と憤った。
同じ中学の女子生徒は「学校の言うことがコロコロ変わる。信じていいのか分からない」。亡くなった生徒の友人の男子生徒は「友達が亡くなったのは事実。いじめに対処する学校になってほしい」と訴えた。保護者の女性(42)は「学校が『すべて説明した』と言った直後に新しい話が出てくる。警察の手で真実を明らかにしてほしい」と話した。
この日の校長の説明について、NPO法人全国いじめ被害者の会の大沢秀明理事長は「いじめの指摘を生徒から聞いたのなら、被害者から、どういういじめを誰から受けたか、きちんと細かく聞かねばならない。それが不十分なのに『いじめの認識はなかった』と堂々と言うのは教育者として失格だ」と批判。「校長は校務をつかさどる立場なのだから、自ら調べたり、教員に調べさせたりすべきだ。いじめに気付かなかったことは校長として恥ずかしいことだ」と指摘した。