iPS細胞で歯のエナメル質再生に成功。東北大や岩手医大などの研究グループ

東北大の福本敏教授と岩手医大の原田教授や大津圭史研究員などの研究グループの共同研究により、マウスの人工多能性幹細胞(iPS細胞)を歯のエナメル質を生み出す細胞を作ることに成功したと10日発表されました。ちなみにiPS細胞は開発者の山中伸弥教授がいる京都大が作った物です。
iPS細胞を培養する際に、いったん前段階に当たる「神経堤細胞」へ分化させ、さらに象牙芽細胞へ分化する2段階方式を取ることで成功したそうです。
2段階の分化の際に与える栄養素は全く別な組み合わせであり、大津研究員によると「適した栄養素の組み合わせを見つけるのに最も時間がかかった」とのことです。

3B社 歯模型 上顎大臼歯(3根)モデル縦断3分解 (d10-5)

以前にも東京理科大学がiPS細胞で髪の毛や血管網付き組織を再生する事に成功していますが、日本のiPS細胞の研究はここ数年画期的に進んでいますね。

毛の再生治療、マウスで成功。脱毛症治療に応用 | CUTPLAZA DIARY

岩手医大の原田教授は「iPS細胞で本物の歯を再生できれば、人工物を使うインプラントなどと違い血管や神経が通じ、遺伝的に歯ができない患者の治療法などにも結び付けられるだろう」と、実用化に期待を寄せています。

時事ドットコム:iPSからエナメル質細胞=マウスで成功、歯の再生期待-東北大など時事ドットコム:iPSからエナメル質細胞=マウスで成功、歯の再生期待-東北大など

 マウスの人工多能性幹細胞(iPS細胞)を歯のエナメル質を生み出す細胞に変えたと、東北大大学院歯学研究科の福本敏教授らが10日発表した。ヒトの場合、この「エナメル芽(が)細胞」は歯が生えた後なくなってしまう。ヒトで成功すれば歯の再生医療が期待でき、歯ができる詳細な仕組みの解明にも役立つという。
 福本教授らと岩手医科大の原田英光教授らは最近、マウスiPS細胞を歯内部の歯髄や象牙質のもとの細胞に変えることにも成功した。歯の再生医療は、生体に吸収される物質で歯の型を作り、iPS細胞から作ったエナメル芽細胞を外側、象牙質などのもとの細胞を内側に張り、いったん動物の体内に移植して歯に近い状態に成長させた後、取り出して患者の歯茎に移植する方法が考えられる。(2012/02/10-18:47)

歯のエナメル質の元、iPS細胞使い作製成功 : 科学 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)歯のエナメル質の元、iPS細胞使い作製成功 : 科学 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

 東北大学は10日、マウスのiPS細胞(新型万能細胞)を使って歯のエナメル質の元になる細胞を作り出すことに、同大大学院歯学研究科の福本敏教授らのグループが世界で初めて成功したと発表した。

 研究成果は、米国科学雑誌「ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー」電子版で紹介されている。

 福本教授らは、歯の元になるラットの歯原性上皮細胞とマウス由来のiPS細胞を混ぜて培養。iPS細胞をエナメル質を構成しているたんぱく質の一つ、アメロブラスチンを含む細胞に分化することができた。この細胞をエナメル質に変化させることができれば、歯の再生につながる可能性があるという。

 福本教授はすでにiPS細胞から歯の象牙質の元になる細胞を作り出すことに成功しており、「全身のどの細胞からも、歯を作り出せる可能性が高まった」としている。

エナメル質再生に期待 東北大、iPS細胞で成果 – MSN産経ニュースエナメル質再生に期待 東北大、iPS細胞で成果 - MSN産経ニュース

 東北大大学院歯学研究科の福本敏教授(小児歯科)の研究グループは10日、世界で初めて人工多能性幹細胞(iPS細胞)から、歯の最も硬い部分「エナメル質」のもととなる細胞をつくることに成功したと発表した。成果は米科学誌電子版に掲載された。

 エナメル質は歯の上部を覆っており、虫歯などで破壊された場合、再生できず、現在は金属を詰めるなどの治療が行われている。研究グループは「将来的には、失った歯の再生への応用が期待できる」としている。

 研究グループは、ラットのエナメル質のもととなる途中段階の細胞の上で、マウス由来のiPS細胞を培養。この結果、iPS細胞の約95%でエナメル質形成に関わる物質が増加したことから、もととなる細胞をつくることが可能と判断した。

iPSで歯再生に光 岩手医大で構成細胞作る新技術iPSで歯再生に光 岩手医大で構成細胞作る新技術

 岩手医大解剖学講座の原田英光教授(50)と同大歯学部先進歯科医療研究センターの大津圭史研究員(38)は、万能細胞と呼ばれる人工多能性幹細胞(iPS細胞)から、歯を構成する象牙質のもととなる「象牙芽(が)細胞」を作り出す技術を開発した。さらに研究が進めば、患者自身の細胞から作ったiPS細胞を用いて歯を再生するなど新たな治療法確立につながる可能性もあり、注目を集めそうだ。

 歯は表面のエナメル質と内側の象牙質で成り立ち、それぞれエナメル芽細胞、象牙芽細胞から作られる。原田教授らは2007年ごろから、iPS細胞から象牙芽細胞を作ることに取り組み、11年12月に技術を確立した。

 同様にエナメル芽細胞を作る技術開発に取り組む東北大歯学研究科の福本敏教授との共同研究。使用したiPS細胞は、開発者の山中伸弥教授がいる京都大が作った。研究成果は米国の学術雑誌(オンライン版)に発表した。

 原田教授らは、iPS細胞に成長を促す各種組み合わせの栄養素を与えて培養し、象牙芽細胞へと性質を変える「分化」を図った。試行錯誤の末、いったん前段階に当たる「神経堤細胞」へ分化させ、さらに象牙芽細胞へ分化する2段階方式を取り成功した。

 2段階の分化の際に与える栄養素は全く別な組み合わせ。大津研究員は「適した栄養素の組み合わせを見つけるのに最も時間がかかった」と苦労を振り返る。

 現在は、原田教授らの知人で歯の研究家として知られるフランス・ストラスブルグ大のハーブ・ルソー教授の下、この象牙芽細胞と既存のエナメル芽細胞を組み合わせて歯を作る実験もスタートしている。

 今後、エナメル質も含めてiPS細胞から歯を作り出す技術が完成すれば、同細胞から身体器管を作る世界的にも例のない成果となる。

 原田教授は「iPS細胞で本物の歯を再生できれば、人工物を使うインプラントなどと違い血管や神経が通じ、遺伝的に歯ができない患者の治療法などにも結び付けられるだろう」と意義を語る。

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